e-patent > 特許検索・特許調査 > 基礎・基本 > なぜ特許検索が必要か

 

なぜ特許調査をするのでしょうか? 特許調査を行わないとどんな事態になってしまうのでしょうか? 仮想ストーリーから特許調査・特許検索の必要性について説明します。まず特許調査がなぜ必要なのか説明する前に仮のストーリーを読んでいただきましょう。

 

 

[あわれ特許調査をしなかったために・・・(仮のストーリー)]中小企業イーパテント社において画期的な自転車が開発されていた

イーパテント社のA社長と画期的な自転車開発担当のBさんの会話

 

 

A社長 : B君、あの画期的な自転車の開発は進んでいるかね。

Bさん : はい、バッチリですよ。あと2ヶ月以内に商品化可能です。多分売れますよ、これは。

A社長 : そういえば、最近ちまたでは”特許、特許”と言っているが、現在開発中の製品は大丈夫なのかね。

Bさん : 特許っていうのは“高度な発明”についてなんで、大丈夫ですよ、気にしなくても。

A社長 : まぁ、そうは言っても不安はあるからな。我が社のような零細企業が万が一、他社の特許を侵害していたりしたら、取り返しがつかんぞ。

Bさん : まぁ、そう言われますと・・・

A社長 : せっかくの機会だから、ちょっと調査会社に頼んでみよう。

Bさん : それでは早速頼んでおきます。

 

 

(調査を依頼して1ヵ月後、調査結果が上がってきた)

 

 

Bさん : 社長、大変です!! あの大手のS社が我が社と同じような自転車の特許を出願していて、しかも権利化されています!!

A社長 : なんてこった。まさかあの大手のS社が出願しているとは・・・これじゃ製品は出せないな・・・

Bさん : 社長、申し訳ありません。開発前に他社の動向を調べていなかったばっかりに・・・

 

 

 

 

イーパテント社では自分達の開発していた自転車が画期的だと信じていました。そのため開発前に特許調査を十分に行っていませんでした。しかし、いざ商品化が目前に迫ったところで特許調査を行ったところ、イーパテント社と同様の技術について大手のS社が既に特許出願を行い、その特許が登録になっていました。

 

大手のS社が登録特許を押さえているところへ、イーパテント社が商品を市場投入すれば・・・それは特許侵害行為となります。他社の特許を侵害すると、多額の賠償金を払う必要がありますし、企業のブランドイメージを大きく損なう事になります。

 

それでは、イーパテント社が開発を行う前にしっかりと特許調査を行っていたらどうなっていたでしょう?

 

開発前に特許調査を行っていれば、イーパテント社が開発を行おうとしている自転車技術について大手のS社が既に特許出願を行っていることが分かりますので、S社の特許を回避するような技術に仕様を変更するか、イーパテント社が開発を行おうとしている自転車技術については見送るか、のいずれかを選択することになります。

 

※他に取り得る手段としては下記のような手段があります。大手S社の登録特許を無効化する資料(特許・技術文献)を探しておき、「特許庁に無効審判請求を行い、S社の特許を無効化する」、「S社と交渉して、登録特許を有利な形でライセンスしてもらう」、「大手S社に登録特許のライセンスを申し込む」などです。

 

それでは、ここで特許調査・特許検索の必要性についてまとめてみましょう。

 

特許調査・特許検索の必要性は大別すると、

 

 

  • 二重投資を防ぐ他社が既に特許出願している技術を把握することで、同様の技術開発を回避する
  • 他社特許の侵害を防止する他社が既に特許出願し登録している特許を把握することで、他社登録特許を侵害することを防げる

 

の2点に集約できるかと思います。

 

特許法第一条から特許調査・特許検索の必要性を考えてみましょう。

 

 

[特許法第一条]この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。

 

 

重要なところは発明の保護及び利用を図ることという部分です。

 

 

発明の保護を図ることは特許権者の権利を守るということ、発明の利用を図ることはこれまでなされてきた発明(=特許公報として発行されている発明)を利用して技術開発を行うこと、を意味しています。

 

 

特許調査を行わずに、研究開発・技術開発や製品販売を行うことは、非常に危険であることを認識する必要があります。

 

※他に特許調査・特許検索の必要性としては、特許出願に掛かる費用を減らす、も考えられます。特許出願前に先行例がないかチェックを行い、類似した技術について既に出願されていれば出願を取りやめることで出願費用を低減することができます(もちろん先行例調査に費用が掛かりますが・・・)。類似した先行例が見つかり出願を取りやめた場合であっても、他社が出願して権利化してしまう恐れもありますので、その取りやめた技術について何らかの手段で公知化しておくと良いです。

 

2006-11-04 : 更新
2005-08-20 : 作成