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なぜ特許検索が必要かでは、特許検索・特許調査は研究開発の二重投資を防ぐ、他社権利の侵害を防ぐ、という2点のために必要であることを述べました。

 

上記の2点は特許情報の持つ2面性 -技術情報であると同時に権利情報でもある- を反映しています。つまり特許調査の必要性と特許情報の持つ2面性を対応させると下記のようになります。

 

 

    • 技術情報 : 研究開発の二重投資を防ぐ
    • 権利情報 : 他社権利の侵害を防ぐ

 

上記で述べている特許調査の必要性は、どちらかといえばディフェンシブ(守り)な考え方です。つまり研究開発、製品開発、製品販売のそれぞれの前段階において可能な限りリスクを低減しようという考え方です。しかし、特許情報の持つ技術情報としての側面に着目すると、特許調査を行う積極的な目的が見えてきます。

 

 

特許には技術の開示資料としての側面があると述べてきました。特許以外にも学会誌・論文、各社の技報・テクニカルレポートなど技術の開示資料はありますが、特許に着目する理由としては、Patent Information (PATLIB Network)に書かれている

 

・世界中の技術情報の80%以上が特許文献に記載されている

・言い換えると、特許文献に記載されている約80%の技術情報は他の技術開示資料(業界誌や学会誌・論文など)では発見することが出来ない

[出所 : Patent Information (PATLIB Network)]

 

 

ことが挙げられます。

 

 

他の理由として、学会誌・論文などと比べると特許の方が公開されるのが早い、と言われています。特許は出願日(または優先権主張日)から18ヵ月後に特許公開公報として発行されますが、学会誌や論文は査読が入るため発行されるのが遅くなる傾向にあるようです(下記注参照)。

 

 

 

注) 管理人の主観になりますが、特許の方が学会誌・論文よりも早く公開されるとは言えないと思います(その事実を証明するデータが手元にないためハッキリとは言えませんが)。管理人も大学院時代に1本査読付き論文を投稿したことがありましたが、論文投稿日から発行されるまでに18ヶ月は経っていなかったと記憶しています。

 

 

 

特許が技術情報として非常に重要であることは分かりました。それでは特許調査をすることでどのようなことが分かるのでしょうか?

 

  • 自社で注目している技術分野の趨勢が分かる
  • どの技術分野が注目されているのかが分かる

 

 

上記2点についてはマクロ的な技術動向を把握することになります。

 

  • ある技術についてどのような課題があるのか分かる
  • ある課題に対してどのような解決手段が用いられてきたのか把握できる

 

 

例えばドアの開閉機構について研究開発しようとした際、これまで出願公開されているドア開閉機構に関する特許を調べることで、ドア開閉機構ではどのような点が課題となっているのか、またその課題に対してどのような方法で解決を図ってきたのか、が分かります。事前に調べておくことで、他社がこれまで注目していなかった課題を発見したり、他社がこれまで用いなかった方法で課題を解決することができます。

 

 

次に、出願人・権利者、発明者に着目すると以下のようなことが分かります。

 

 

[出願人・権利者に注目]

  • ある特定の技術分野におけるリーディングカンパニーが分かる
  • 企業の共同研究先が分かる

 

[発明者に注目]

  • ある特定の技術分野におけるキーパーソンが分かる
  • ある企業の特定技術分野における開発規模(どれくらいのヒトを投入しているか)が分かる

 

 

これは技術情報というよりは技術マーケット情報といった方が正確かもしれません。他に、

 

 

  • 自社で開発した技術のライセンス先を探したい

 

  • アライアンス先を探したい

 

 

といったニーズも特許情報を利用することで満たすことができます。まず自社開発した技術がドア開閉機構だと仮定します。ドア開閉機構に関する特許を収集して、その収集した特許の出願人・権利者のランキングを出します。特許出願件数が多いということは、それだけその分野で研究開発を積極的に行っていると推測できます。よって、ランキング上位の出願人・権利者(企業・研究機関など)がライセンス先・アライアンス先の候補として挙げることができます。

 

 

 

※特許出願件数の多寡と同時に、上位出願人の特許出願件数の時系列推移を見ることも必要です。最近の特許出願件数が低調な場合は、昔積極的に研究開発を行っていたが、現在は事業から撤退してしまった可能性があります。

 

2006-11-04 : 更新
2005-09-21 : 作成