Vol.034(2007-07-12)


■Contents━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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 1:特許検索のネタ

 2:洗い出した特許分類一覧

 3:洗い出した特許分類の検討と検索式の作成
  3-1:洗い出した分類と特許検索マトリックス
  3-2:特許分類をベースにした検索式の作成

 4:特許検索の鉄則



1:特許検索のネタ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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今回のシリーズでは松下電器産業出願の半導体装置に関する特許を例に取り
その特許の類似特許を探す方法を解説しています。取り上げている特許は
以下の特許です。


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【発明の名称】半導体装置
【公開番号】 特開2005-123458
【出願日】  2003年10月17日
【出願人】  松下電器産業株式会社
【要約】
【課題】マイクロ波帯域からテラヘルツ帯域での特性のバラツキが抑制されて
おり、実装が容易で、高周波信号を空間や外部回路に効率よく伝達することが
可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、基板1と、基板1の最上部に形成された
n型半導体層2Aと、基板1上に互いに離間して形成され、伝送線路を構成
する信号線5および接地線6と、n型半導体層2Aと、信号線5および接地
線6とから構成される発振素子15と、基板1上に形成され、信号線5に
接続された高周波利用回路部11とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】n型半導体層を最上部に有する基板と、
 上記基板上に互いに離間して形成され、伝送線路を構成する信号線および
接地線と、
 上記n型半導体層と、上記信号線および上記接地線とから構成される
発振素子と、
 上記基板上に形成され、上記信号線に接続された高周波利用回路部と、
を備える、半導体装置。
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前回は分類の洗い出しまで行いました。今回は洗い出した特許分類の検討を
行っていきましょう。



2:洗い出した特許分類一覧━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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前回IPC「H01L47/02 H03B9/12」に「周波数」を掛け合わせた結果、24件が
ヒットしました。この24件からIPCを洗い出すと、以下のようになりました。

※付与されている件数の多い順にソートしています
※☆のついている分類は対象特許に付与されている分類です


H01L47/02 ☆ バルク負性抵抗効果装置,例.ガン効果装置;それらの装置また
       はその部品の製造または処理に特に適用される方法または装置
        ・ガン効果装置
H03B 9/12 ☆ 走行時間効果を用いた振動の発生
        ・固体装置を用いるもの,例.ガン効果装置
H03B 9/14   走行時間効果を用いた振動の発生
        ・・分布インダクタンスとキヤパシタンスとを構成する素子
        をも用いるもの
H03B 5/18   出力から入力への再生帰還による増幅器を用いた振動の発生
        ・周波数決定素子が分布定数インダクタンスと分布定数
        キャパシタンスとからなるもの
H01P 3/16   導波管;導波管型の伝送線路
        ・誘電体導波管,すなわち長手方向導体をもたないもの
H01P 1/00   補助装置
H04B 1/38   グループ3/00から13/00の単一のグループに包含
        されない伝送方式の細部;伝送媒体によって特徴づけられ
        ない伝送方式の細部
        ・送受信機,すなわち送信機と受信機とが1つの構造ユニッ
        トを形成し,かつ少なくとも一部分は送信および受信機能の
        ために用いられる装置
H01L21/60   半導体装置または固体装置またはそれらの部品の製造または
        処理に特に適用される方法または装置
        ・・・・動作中の装置にまたは装置から電流を流すための
        リードまたは他の導電部材の取り付け
H01L23/12,301 半導体または他の固体装置の細部
        ・・高周波素子のマウント
H03D 7/12   1つの搬送波から他の搬送波への変調の変換,例.周波数変換
        ・3以上の電極を有する半導体装置によるもの
G01S 7/03   グル−プ13/00,15/00,17/00による方式の細部
        ・・そのために特に適合されたHFサブ方式の細部,例.送信機,
        受信機に共通なもの
H01P 7/06   導波管型の共振器
        ・空胴共振器
H04H 1/04   放送分配方式
        ・・搬送波を使用するもの
H01L39/24   超電導性またはハイパ−コンダクテイビテイを利用する装置;
        それらの装置またはその部品の製造または処理に特に適用さ
        れる方法または装置
        ・39/00に分類されている装置またはその部品の製造または処
        理に特に適用される方法または装置
G01S13/34   電波の反射または再放射を使用する方式,例.レ−ダ方式;波長
        または波の性質が無関係または不特定の波の反射または再放
        射を使用する類似の方式
        ・・・・・周波数変調波を送信し,受信信号,またはそれから
        得られる信号と送信信号に関連する局部発生信号とをヘテロ
        ダインしてうなり周波数信号を発生させるもの
H01J25/74   走行時間型電子管,例.速度変調管,進行波管,磁電管
        ・走行時間2極管発振器として動作するように特別に設計され
        た管,例.モノトロン
H01P 3/02   導波管;導波管型の伝送線路
         ・2本の長手方向導体をもつもの
G01S 7/282   グル−プ13/00,15/00,17/00による方式の細部  
        ・・・送信機
H01P 5/10   導波管型の結合装置
        ・・不平衡線路または不平衡装置との平衡結合用のためのもの
H01L39/22   超電導性またはハイパ−コンダクテイビテイを利用する装置;
        それらの装置またはその部品の製造または処理に特に適用さ
        れる方法または装置
        ・異種材料の接合からなる装置,例.ジヨセフソン効果装置
H01P 7/10   導波管型の共振器
        ・誘電体共振器
H01Q13/08   導波管ホ−ンまたは開口;スロツト空中線;漏洩導波管空中線;
        伝送路に沿つて放射を起こす等価構成
        ・2導体マイクロ波伝送線路,たとえば同軸線路,マイクロスト
        リツプの放射終端
H01Q21/06   空中線配列または系
        ・同一方向に偏波された間隔を置いて配置された個々に励振
        された空中線単位の配列
H03B 1/00   細部
H03B23/00   所定周波数範囲を周期的に掃引する振動の発生
H03B 5/12   出力から入力への再生帰還による増幅器を用いた振動の発生
        ・・増幅器の能動素子が半導体装置であるもの
G01S 7/28   グル−プ13/00,15/00,17/00による方式の細部  
        ・・パルス方式の細部
H03B 7/04   2つの電極間に負性抵抗をもつ能動素子を用いた振動の発生
        ・・能動素子が真空管であるもの
G01S13/93   電波の反射または再放射を使用する方式,例.レ−ダ方式;波長
        または波の性質が無関係または不特定の波の反射または再放
        射を使用する類似の方式
        ・衝突防止用に設計されたレ−ダ方式または類似の方式
H01L35/32   異種材料の接合からなる熱電装置,すなわち他の熱電効果ある
        いは熱磁気効果を伴いまたは伴わないゼ−ベツクまたはペル
        チエ効果を示すもの;それらの装置またはその部品の製造また
        は処理に特に適用される方法または装置;それらの装置の細部
        ・・装置を形成するセルまたは熱電対の構造または配列に特
        徴のあるもの
H01L35/16   異種材料の接合からなる熱電装置,すなわち他の熱電効果ある
        いは熱磁気効果を伴いまたは伴わないゼ−ベツクまたはペル
        チエ効果を示すもの;それらの装置またはその部品の製造また
        は処理に特に適用される方法または装置;それらの装置の細部
        ・・・テルルまたはセレンまたはイオウからなるもの
H03L 7/24   周波数または位相の自動制御;同期
        ・基準信号が発生器に直接加えられるもの
H04B 1/04   グル−プ3/00から13/00の単一のグル−プに包含されない伝送
        方式の細部;伝送媒体によつて特徴づけられない伝送方式の
        細部
        ・・回路
H04B 1/18   グル−プ3/00から13/00の単一のグル−プに包含されない伝送
        方式の細部;伝送媒体によつて特徴づけられない伝送方式の
        細部
        ・・・入力回路,例.空中線または伝送線へ結合するための
        入力回路
H01L29/90   異種材料の接合からなる熱電装置,すなわち他の熱電効果ある
        いは熱磁気効果を伴いまたは伴わないゼ−ベツクまたはペル
        チエ効果を示すもの;それらの装置またはその部品の製造また
        は処理に特に適用される方法または装置;それらの装置の細部
        ・・・テルルまたはセレンまたはイオウからなるもの
H04B 1/40   グル−プ3/00から13/00の単一のグル−プに包含されない伝送
        方式の細部;伝送媒体によつて特徴づけられない伝送方式の
        細部
        ・・回路



3:洗い出した特許分類の検討と検索式の作成━━━━━━━━━━━━━━━
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━━━━━━━━━━━━━━━3-1:洗い出した分類と特許検索マトリックス


洗い出した特許分類を眺めて気づいたことはありませんか?


特許に付与されていたH01L47/02とH03B9/12は「バルク負性抵抗効果装置(ガン
効果装置」の分類です。


ガン効果とは「ガリウム砒素のN型結晶の両端に直流の電圧(厚さ1cm当たり数
千V)をかけたとき、その結晶の中を流れる電流が結晶の厚さで決まる周波数で
振動する」というものです (社団法人日本船舶電装協会ウェブサイトより)。

このガン効果を利用したマイクロ波発信器をガンダイオードと呼びます。


そして洗い出した特許分類は、以下の特許検索マトリックスで抽出した4つの
技術的特徴・構成要件のいずれかに当てはまります。


※本当は4つの技術的特徴・構成要件と洗い出したIPCの対応表を作成したいの
 ですが、今回の技術分野については詳しくないので省略させていただきます
 申し訳ありません・・・


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         |  キーワード
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 背景技術   1|  半導体装置
         |━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        2|  周波数帯域
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 技術的特徴  1|  基板(n型半導体層)
 構成要件    |━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        2|  信号線・接地線
         |━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        3|  発振素子
         |━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        4|  高周波利用回路部
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IPCは特許に開示されている技術的特徴に対して付与されますので、ガン効果
装置である「H01L47/02 H03B9/12」の分類に、さらに信号線・接地線のIPCが
付与されていれば、それは信号線・接地線に特徴がある特許と言えます。

ということは探したい特許が「ガン効果装置(ガンダイオード)の中でも信号
線・接地線に特徴を有するもの」であれば、


   ガン効果装置関連分類 × 信号線・接地線関連分類


とすれば所望の結果を得ることができます。


━━━━━━━━━━━━━━━━3-2:特許分類をベースにした検索式の作成


先ほどの式を一般的な言い方で置き換えると、


   背景技術関連分類   × 技術的特徴分類


となります。特許分類とキーワードを掛けるというのがよく使用される方法
ですが、特許分類と特許分類の掛け算も結構役立ちます。


イメージしやすい例で説明します。


木製のシャープペンシルの特許を探したい場合、


 背景技術  シャープペンシル
 技術的特徴 木製


となります。シャープペンシルの分類に木の分類を掛け合わせると、木製で
あることに特徴を有するシャープペンシルが抽出できます。またアルミ製の
シャープペンシルを抽出したいのであればアルミの分類を掛け合わせれば良い
わけです。


もちろんシャープペンシルの特許分類にキーワードで「木製」と掛けても良い
でしょう。技術的特徴の部分に特許分類を使用するか、それともキーワードを
使用するかはケース・バイ・ケースです。


※ここでは取り上げませんが特許分類同士の掛け算が有効なのはFタームを
 用いる場合です。
 


4:特許検索の鉄則━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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本号の解説の中から4つを特許検索の鉄則としてまとめます。


■特許検索の鉄則073

 特許公報に付与されている特許分類は、公報で開示されている技術的特徴や
 構成要件に基づいて付与されている


■特許検索の鉄則074

 検索式作成の方法として特許分類同士の掛け算もある


■特許検索の鉄則075

 特許分類同士の掛け算で検索式を作成する場合は、

     背景技術に関する特許分類 × 技術的特徴の特許分類

 の掛け算にすると良い


■特許検索の鉄則076

 特許分類同士の掛け算の中でも有効なのは、Fターム同士の掛け算である


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特許電子図書館を使った[特許検索のコツ]

   

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2007-09-23 : 更新