Vol.035(2007-07-17)


■Contents━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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 1:特許検索のネタ

 2:検索式の作成
  2-1:技術的特徴に注目した検索式の作成
  2-2:課題・目的に注目した検索式の作成
  2-3:課題・目的と技術的特徴の関連性
  2-4:課題・目的と技術的特徴を考慮した検索式作成
  2-5:特許検索の目的に応じた検索式の作成
  2-6:検索式の基本パターン

 3:特許検索の鉄則



1:特許検索のネタ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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今回のシリーズでは松下電器産業出願の半導体装置に関する特許を例に取り
その特許の類似特許を探す方法を解説しています。取り上げている特許は
以下の特許です。


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【発明の名称】半導体装置
【公開番号】 特開2005-123458
【出願日】  2003年10月17日
【出願人】  松下電器産業株式会社
【要約】
【課題】マイクロ波帯域からテラヘルツ帯域での特性のバラツキが抑制されて
おり、実装が容易で、高周波信号を空間や外部回路に効率よく伝達することが
可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、基板1と、基板1の最上部に形成された
n型半導体層2Aと、基板1上に互いに離間して形成され、伝送線路を構成
する信号線5および接地線6と、n型半導体層2Aと、信号線5および接地
線6とから構成される発振素子15と、基板1上に形成され、信号線5に
接続された高周波利用回路部11とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】n型半導体層を最上部に有する基板と、
 上記基板上に互いに離間して形成され、伝送線路を構成する信号線および
接地線と、
 上記n型半導体層と、上記信号線および上記接地線とから構成される
発振素子と、
 上記基板上に形成され、上記信号線に接続された高周波利用回路部と、
を備える、半導体装置。
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前回は洗い出した特許分類の検討と、特許分類をベースとした検索式の作成に
ついて解説しました。今回は検索式作成の続きです。



2:検索式の作成━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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━━━━━━━━━━━━━━━━━2-1:技術的特徴に注目した検索式の作成


前回は検索式を作成する場合に、


    背景技術関連分類 × 技術的特徴分類


のようなパターンがあることを説明しましたね。例としてシャープペンシルを
取り上げて解説しました。


特許(発明)には何らかの技術的特徴があります。なぜかと言えば、ある課題や
目的に対してその技術的特徴を適用することで、その課題が解決できるから、
企業は特許を出願して権利化を図ろうとするわけです。特許を読み込み、技術
的特徴を抽出することが類似特許検索の第一歩です。この技術的特徴を抽出す
るための1つの方法が「特許検索マトリックスシート」です。


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         |  キーワード
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 背景技術   1|  半導体装置
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        2|  周波数帯域
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 技術的特徴  1|  基板(n型半導体層)
 構成要件    |━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        2|  信号線・接地線
         |━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        3|  発振素子
         |━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        4|  高周波利用回路部
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今回の背景技術は「バルク負性抵抗効果装置(ガン効果装置)」なので、この
背景技術の特許分類(H01L47/02とH03B9/12)に対して、各技術的特徴の分類を
掛け合わせれば、


    ガン効果装置であって、かつ、○○の技術的特徴を有する


特許を抽出することができます。技術的特徴については特許分類を掛け合わせ
なくとも構いません。キーワードを掛け合わせも良いでしょう。つまり、


    背景技術関連分類 × 技術的特徴分類

    背景技術関連分類 × 技術的特徴キーワード


となります。


━━━━━━━━━━━━━━━━━2-2:課題・目的に注目した検索式の作成


次に技術的特徴ではなく、発明の課題や目的に注目した検索式の作成方法に
ついて見てみましょう。


今回の特許の要約を見ると、


【課題】マイクロ波帯域からテラヘルツ帯域での特性のバラツキが抑制されて
おり、実装が容易で、高周波信号を空間や外部回路に効率よく伝達することが
可能な半導体装置を提供する。


とあります。つまり課題としては


 ・バラツキ抑制
 ・実装が容易
 ・高周波信号を効率よく伝達


といった点が挙げられます。


課題や目的に着目した検索式を作成するためには、


    背景技術関連分類 × 課題・目的キーワード


となります。ガン効果装置の特許分類(H01L47/02とH03B9/12)に対して、課題
・目的のキーワードを掛け合わせれば、


    ガン効果装置であって、かつ、○○という課題や目的を有する


特許を抽出することができます。つまり「同一課題を有する特許」を抽出でき
るわけです。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-3:課題・目的と技術的特徴の関連性


先ほど「特許(発明)には何らかの技術的特徴があります。なぜかと言えば、
ある課題や目的に対してその技術的特徴を適用することで、その課題が解決
できるから、企業は特許を出願して権利化を図ろうとするわけです。」と
述べました。


発明には課題・目的があります。その課題・目的に対して適用された解決手段
(技術的特徴)があります。


1つの課題や目的に対して適用する解決手段は1つとは限りません。例えば、
「車を軽くする」という課題・目的に対して考えられる解決手段は、

   ・車体材料を軽い材料にする
   ・車体の部品点数を削減する
   ・車体そのものを小さくする

などといったものが考えられます。つまり、「車を軽くする」という同一課題
を持っている特許であっても、適用される解決手段は異なる場合があります。


逆に解決手段(技術的特徴)として「車体材料を軽い材料にする」という特許が
あった場合、この特許の課題が必ずしも「車を軽くする」とは限りません。


実は車体材料が重いことで車体組立ラインの作業効率が落ちていたのを、車体
材料を軽くすることで「作業効率アップを図る」というケースも考えられます
。また、車体材料を変更することで「車体部品の加工性向上」や「車体部品の
コスト低減」を目的としているかもしれません。


このように同一課題を持っているからといって同一の解決手段(技術的特徴)を
持っているわけではなく、逆に同一の解決手段(技術的特徴)を持っている特許
だからといって同一課題を持っているわけではありません。


━━━━━━━━━━━━2-4:課題・目的と技術的特徴を考慮した検索式作成


2-3で解説した内容を踏まえると、「同一課題」および「同一技術的特徴」を
有している特許を抽出するためには、


       背景技術 × 技術的特徴 × 課題・目的


と検索式を設定する必要があります。背景技術は特許分類またはキーワード、
技術的特徴も特許分類またはキーワード、課題・目的は主にキーワードを
使用するケースが多いと思います。


※IPC・FIには課題・目的といった分類はありませんが、Fタームには課題や
 目的といった分類が整備されていますので、調査対象公報の課題・目的に
 沿った分類があれば使用すると良いでしょう



━━━━━━━━━━━━━━━━2-5:特許検索の目的に応じた検索式の作成


特許検索の目的が他社特許の無効化である場合は、


       背景技術 × 技術的特徴 × 課題・目的


という検索式を設定する必要があります。同一背景技術であり同一技術的特徴
を有している特許であっても、課題・目的が異なる場合もあるからです。私は
弁理士資格は持っていないので、法的判断については言及できませんが、課題
・目的が異なると無効資料としては弱いようです。


次に


       背景技術 × 課題・目的


とした場合、どのような目的で特許検索を行っていると思いますか?


技術的特徴については特許分類やキーワードを掛け合わせていないので、ある
特定技術についての同一課題を持った特許集合がヒットします。


これはある技術的な課題に対して、他社がどのような解決手段(技術的特徴)を
適用しているか見る場合の検索式です。


「車を軽くする」の例で説明したように、課題は「車を軽くする」ことであっ
ても適用する解決手段は様々です。自社で進めている研究開発の方向性、つま
り自社で考えている解決手段は、他社の適用している解決手段と比べるとどう
か?確認するための検索式のパターンです。


最後に、検索式を


       背景技術 × 技術的特徴


とすると、同じ技術的構成を持った特許集合がヒットします。特定技術的構成
を持った特許をリストアップしたい場合や、ある技術的構成の課題・目的を探
索する場合にこの検索式を用います。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-6:検索式の基本パターン


検索式の基本パターンとしては、これまで


  ■特許検索の鉄則022

   検索式の基本パターンは以下の3通り
   1) キーワードのみ
   2) 特許分類のみ
   3) キーワードと特許分類の掛け算


を紹介してきましたが、今回のシリーズで新たに


  ■特許検索の鉄則077

   検索式の基本パターンは以下の3つの概念の組み合わせである

   (背景技術) × (技術的特徴) × (課題・目的)


を追加したいと思います。



3:特許検索の鉄則━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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本号の解説の中から3つを特許検索の鉄則としてまとめます。また過去の鉄則
を1つを再掲します。


■特許検索の鉄則022(再掲)

 検索式の基本パターンは以下の3通り
 1) キーワードのみ
 2) 特許分類のみ
 3) キーワードと特許分類の掛け算


■特許検索の鉄則077

 検索式の基本パターンは以下の3つの概念の組み合わせである

 (背景技術) × (技術的特徴) × (課題・目的)


■特許検索の鉄則078

 検索式作成を作成する際に着目する点は

  ・技術的特徴(解決手段)
  ・課題・目的

 の2つである


■特許検索の鉄則079

 特許検索の目的(=特許調査の目的)に応じて、技術的特徴に着目するか、
 課題・目的に着目した検索式を作成するか選ぶ


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特許電子図書館を使った[特許検索のコツ]

   

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2007-09-23 : 更新