e-patent > メールマガジン > 米国特許検索入門 > (1) 競合他社の出願状況を調べる(登録編)

Vol.044(2007-10-09)


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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2007.10.09━


【本号のテーマ】

  米国特許検索入門(1)

          競合他社の出願状況を調べる(登録編)



■Contents━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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 1:特許検索のネタ

 2:米国特許検索:競合他社の出願状況
  2-1: データベースの選択(公開・登録)
  2-2: Advanced Search 検索式の作成 1) 出願人
  2-3: Advanced Search 検索式の作成 2) 年度限定
  2-4: Advanced Search 検索式の作成 3) 出願の種類

 3:特許検索の鉄則



1:特許検索のネタ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

前回は米国特許検索データベースUSPTOのPatent Full-Text and Full-Page
Image Databasesについて基本的な事柄を確認しました。

今回からデータベースの使い方について早速解説していきましょう。今回の
ネタは


        競合他社の出願状況を把握するには?


です。あるとき上司から「競合のA社の米国特許の出願状況を調べてくれ!」
と頼まれました。こんなときに役立つ検索方法です。



2:米国特許検索:競合他社の出願状況━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-1:データベースの選択


さて、競合他社を調べることになりました。具体的な社名があった方が良いと
思いますので、アメリカ特許の登録ランキングの上位でおなじみのキヤノンを
対象にしましょう。


さて、キヤノンの出願状況を調べますが公開公報・登録公報のいずれを調べる
のか決めましょう。前回解説したとおり、米国特許検索データベースには


◆Issued Patents (PatFT) ←登録特許
 (full-text since 1976, full-page images since 1790)

◆Published Applications (AppFT) ←公開特許
 (published since 15 March 2001)


の2種類があります。本メルマガでは公開・登録の両方の出願状況について
調べていきます。今回は登録編です。


━━━━━━━━━━━━━━2-2:Advanced Search 検索式の作成 1) 出願人


公開・登録特許データベースのいずれも Quick Search、Advanced Searchと
Patent Number Search の3つの検索メニューがあります。Quick Searchでは
検索項目が2つまでしか指定できないので、今回はAdvanced Searchを利用して
いきます。


登録特許データベースのAdvanced Searchをクリックすると、左側にQueryと
書かれた大きなブランクがあることに気づきます。


・Issued Patents (PatFT) Advanced Search
  http://patft.uspto.gov/netahtml/PTO/search-adv.htm


Queryとはデータベースにおける検索要求、つまり検索式のことを意味します。
このブランク部分に検索式を記入するわけです。検索式の記入方法については
右側に例示がされています。


  Examples:
  ttl/(tennis and (racquet or racket))
  isd/1/8/2002 and motorcycle
  in/newmar-julie


このように検索式は


          「フィールドコード/検索ターム」


から成り立っています。このフィールドコードの種類がページ下半分に列挙
されています。例示されているものはそれぞれ


  ttl/ 発明の名称
  isd/ 公報発行日
   in/ 発明者


となります。今回は「キヤノン」の特許出願状況を調べたいので、出願人の
フィールドコードを探すと、出願人にあたるApplicantはフィールドコード内
に見つかりません。それではどのフィールドコードを使うのかといえば、


  an/ Assignee Name (権利譲渡人)


を使います。つまり検索式としては「AN/CANON」になります(大文字・小文字
は区別されません)。米国では出願人という用語は使わず、権利譲渡人と呼ぶ
ことを覚えておくと良いでしょう。


ちなみに、いま作ったばかりの検索式「AN/CANON」をブランクにコピーして
SEARCHボタンを押してみましょう。10月8日現在では35322件がヒットします。



━━━━━━━━━━━━━2-3:Advanced Search 検索式の作成 2) 年度限定


権利譲渡人CANONで検索すると、当たり前の話ですが登録特許データベースに
収録されている特許全体を対象に検索を行いますから、ヒット件数は膨大な
ものになってしまいます。


上司から「競合のA社の米国特許の出願状況を調べてくれ!」のように指示が
曖昧な場合は直近 5〜10年ぐらいの件数推移を出すと良いかと思います。


件数推移を調べるために、検索式で年度限定を行う必要があります。年度限定
を行うためのフィールドコードとして


 ISD   Issue Date      公報発行日
 APD   Application Date   出願日
 RLAP  Related US App. Data 関連する米国出願の日
 REIS  Reissue Data     再発行日
 

のようなものがあります。通常、私たちは出願日・出願年ベースで整理すると
思いますが、米国、特に米国登録特許では出願日ではなく、公報発行日で整理
することをオススメしたいと思います。


ご存知のとおり、米国にはちょっと前まで出願公開制度がありませんでした。
つまりある企業が出願して、米国特許商標庁で審査されて、審査を通った特許
だけが登録公報として発行されていたわけです。逆に審査を通らなかった特許
は発行されないまま。


出願日・出願年で整理する場合は、ある企業がその年にどれくらい特許を出願
したか見ることができます。米国では上述のとおり、これができません。その
ため、米国では出願日ではなく、公報発行日で整理します。公報発行日で整理
するということは、ある企業がその年にどれくらいの特許を登録にしたか見る
ことになります。


米国の場合は、出願公開制度が導入されていなかったので、登録公報は発行日
ベースで整理した方が良い、と覚えておくと良いでしょう。


それでは、公報発行日での年度限定の方法ですが、ヘルプを見ると


・ヘルプ:Issue Date (ISD)
 http://www.uspto.gov/patft/help/helpflds.htm#Issue_Date


いくつか例が掲載されています。その中で範囲指定については、


    ISD/1/1/1995->2/14/1995


のように示されています。つまり年(YYYY)、月(MM)、日(DD)とすると、


    ISD/MM/DD/YYYY->MM/DD/YYYY


のようになります。例えばキヤノンの2006年に発行された登録特許件数は


    AN/CANON and ISD/1/1/2006->31/12/2006


で調べることができます。実はこの年度限定は、もっと簡単に表現する方法が
あります。それは$マークを使う方法です。実は


    ISD/1/1/2006->31/12/2006

    ISD/$/$/2006


の2つは同じことを意味しています。日付部分・DD部分の$は1-31までを意味し
月部分・MM部分の$は1-12までを意味します。よってキヤノンの2006年に発行
された登録特許件数は


    AN/CANON and ISD/1/1/2006->31/12/2006

    AN/CANON and ISD/$/$/2006


のいずれの検索式でも同じ結果となります。


━━━━━━━━━━━━2-4:Advanced Search 検索式の作成 3) 出願の種類


さて上記の検索式で直近10年間のキヤノンの登録特許件数を調べてみました。

◆検索式
 2006年:AN/CANON and ISD/$/$/2006
 2005年:AN/CANON and ISD/$/$/2005
 2004年:AN/CANON and ISD/$/$/2004
 2003年:AN/CANON and ISD/$/$/2003
 2002年:AN/CANON and ISD/$/$/2002
 2001年:AN/CANON and ISD/$/$/2001
 2000年:AN/CANON and ISD/$/$/2000
 1999年:AN/CANON and ISD/$/$/1999
 1998年:AN/CANON and ISD/$/$/1998
 1997年:AN/CANON and ISD/$/$/1997

◆結果
 2006年:2427件
 2005年:1868件
 2004年:1882件
 2003年:2081件
 2002年:1978件
 2001年:1997件
 2000年:2004件
 1999年:1904件
 1998年:2044件
 1997年:1498件


「さて、あとはこれをグラフにして〜」と思ったかもしれませんが、ちょっと
ここでストップです。


検索式を入力して件数を確認していくときに、リストが表示されます。その
リストにちょっと違和感のある公報番号を見かけませんでしたか?

例えば下のリストは1997年のリストです。


  PAT. NO.   Title 
1  D388,437  Earphone for portable terminal  
2 5,704,019  Resolution conversion method and apparatus  
3 5,703,967  Color image transmitting method  
4 5,703,962  Image processing method and apparatus  


一番上に「D」から始まる公報が来ています。これはデザイン特許です。日本
では特許の中にデザイン、つまり意匠があるのは信じられませんが、アメリカ
では特許の中にデザインがあります。それでデザイン特許と呼びます。


もしも上司がデザイン特許なども含めた件数を把握したいのであれば、上記の
件数でも良いでしょう。しかし、もしも日本でいうところの特許、発明の件数
を知りたいのであれば、デザイン特許などの件数は除かなければいけません。


この特許の種類を規定するフィールドコードが存在します。それがAPTです。


・ヘルプ:Application Type (APT)
 http://www.uspto.gov/patft/help/helpflds.htm#Application_Type


APTは、

 1 = Utility
 2 = Reissue
 4 = Design
 5 = Defensive Publication
 6 = Plant
 7 = Statutory Invention Registration


の7種類あります。通常われわれが特許と呼ぶものは1のユーティリティです。
なので、キヤノンのユーティリティ特許の件数推移を出すのであれば検索式は


◆検索式
 2006年:AN/CANON and ISD/$/$/2006 and APT/1
 2005年:AN/CANON and ISD/$/$/2005 and APT/1
 2004年:AN/CANON and ISD/$/$/2004 and APT/1
 2003年:AN/CANON and ISD/$/$/2003 and APT/1
 2002年:AN/CANON and ISD/$/$/2002 and APT/1
 2001年:AN/CANON and ISD/$/$/2001 and APT/1
 2000年:AN/CANON and ISD/$/$/2000 and APT/1
 1999年:AN/CANON and ISD/$/$/1999 and APT/1
 1998年:AN/CANON and ISD/$/$/1998 and APT/1
 1997年:AN/CANON and ISD/$/$/1997 and APT/1


と修正する必要があります。またデザイン特許だけを調べたいのであれば、
APT/1をAPT/4に変更すればできます。件数はここでは掲載しませんので、
みなさん是非ともトライしてください。


また今回ご紹介した検索式


       AN/CANON and ISD/$/$/2006 and APT/1


のCANONと2006を変更すれば、他の会社の出願状況を調べることができます。
ぜひとも自社の競合他社の出願状況を調べてみてください。意外と競合他社が
米国に出願しているかもしれませんよ。


次回は「競合他社の出願状況を調べる(公開編)」をお送りします。



3:特許検索の鉄則━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本号の解説の中から3つを特許検索の鉄則としてまとめます。


■特許検索の鉄則099

 米国特許の登録特許検索では出願人ではなく、
                  権利譲渡人(Assignee)を用いる


■特許検索の鉄則100

 米国特許の登録特許検索では出願日ベースではなく、
                公報発行日ベースで整理した方が良い


■特許検索の鉄則101

 米国特許の登録特許検索ではデザイン特許なども含まれてしまうため
 出願の種類も考慮して検索式を作成する必要がある


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2007-12-28 : 更新