e-patent > メールマガジン > 特許電子図書館IPDLを使った「特許検索再入門」 > (1) 特許検索・特許調査はなぜ必要か?

Vol.60(2008-05-26)


━ Vol.060━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━読者数: 1050名━

無料でできる!

       特許電子図書館を使った【特許検索のコツ】

                    http://www.e-patentsearch.net/
                    http://www.e-特許検索.net/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2008.05.26━


【本号のテーマ】

 特許電子図書館IPDLを使った「特許検索再入門」(1)


         特許検索・特許調査はなぜ必要か?



■Contents━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 1:特許検索のネタ

 2:特許法第一条と特許調査の必要性
  2-1: 特許法第一条
  2-2: 特許法第一条「発明の保護」
  2-3: 特許法第一条「発明の利用」
  2-4: 統計から見る特許調査の必要性

 3:特許検索の鉄則



1:特許検索のネタ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


今回から新シリーズ 特許電子図書館IPDLを使った「特許検索再入門」 を始め
ます。ここ半年間は米国特許検索 (USPTO) や欧州特許検索 (espacenet) の話
が続いていましたので、今回から再び日本特許検索の解説に戻ります。


4月に新たに知財部門や知財担当として配属された方々には、このシリーズで
イチから特許検索のコツ・テクニックを学んでいただければと思います。



2:特許法第一条と特許調査の必要性━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-1:特許法第一条


まだ新入社員の頃は「弁理士を目指す」と周囲に公言して、条文も覚えようと
していました。大学受験のときと同じですが、途中で何度もあきらめかけて、
条文に再度トライするということを繰り返していくと、始めの条文だけは記憶
に残るものです。


世界史などであれば、クロマニョン人やネアンデルタール人の姿が脳裏に焼き
ついているのと同じです(でも試験では先史時代はあまり出題されませんが)。


特許法についても第一条だけは、何となくボンヤリと脳裏に残っているのでは
ないでしょうか?


  [特許法第一条]
  この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、
  もつて産業の発達に寄与することを目的とする。 


特許法第一条は上記のような条文です。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
コラム:特許法など知的財産権法ってどこで調べるの?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

今では特許法や著作権法といった知的財産権法はインターネットで掲載されて
います。もちろん、弁理士試験を受験される方は条文集を購入された方が良い
と思います。

⇒インターネット上の特許法・知的財産権法
 http://www.e-patentmap.net/link/index.html#2_1

⇒特許法・知的財産権法の法文集・条文集
 http://www.e-patentmap.net/library/law.html

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-2:特許法第一条「発明の保護」


  [特許法第一条]
  この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、
        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  もつて産業の発達に寄与することを目的とする。 


特許法第一条の下線部を付与した「発明の保護及び利用」に着目します。


もともと、特許法は素晴らしい発明をした人に対して一定期間の独占を許す制
度です。もしも素晴らしい発明をしたのに、何にも保護されず、誰か他の人に
真似をされてしまい、本来得るべき利益が得られないようであれば、発明する
やる気が失われてしまいます。


よって、特許法の目的として「発明の保護」というのは非常に重要です。


私がある製品を市場に出したいと考えています。万が一、この製品が他社特許
権に抵触していたら差止請求や損害賠償請求されてしまいます。自社の特許権
が他社に侵害されないように注意することも重要ですし、自社の製品が他社の
特許権に抵触しないように注意することも必要です。


まとめると、発明の保護には


 a) 自社特許権を保護する=他社に自社権利を侵害されないようにする

 b) 他社特許権を保護する=自社が他社権利を侵害しないようにする


という2点が包含されます。この2点を達成するための行為が特許検索・特許
調査です。特にb)は侵害防止調査・パテントクリアランス調査と呼ばれている
特許調査です。


※a)は特許調査というよりも侵害鑑定といった方が良いでしょう。他社の市場
 に出ている製品について実物の取寄せ・解体やカタログなどの情報を収集し
 自社特許権の権利範囲に入るか否か検討します。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-3:特許法第一条「発明の利用」


次に


  [特許法第一条]
  この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、
        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  もつて産業の発達に寄与することを目的とする。 


「発明の利用」について考えてみましょう。


あるところに自転車を発明したAさんがいました。この人は自分で考え出した
自転車について知られたくなかったので、ず〜〜っと秘密にしていました。

そのうち、Aさんとは別のBさんが自転車を発明しました。

このBさんはAさんが自転車を発明したことは全く知らずに、独自に研究を重
ねて自転車の発明に至りました。


さて、もしもAさんが自転車について秘密にせず、公開していたらどうなった
でしょうか?


BさんはAさんと同じ研究を繰り返し、同じぐらいの時間を投入して、同じ自
転車の発明に至りました。AさんとBさんのやっていた研究は重複しており、
この重複は時間や資金のムダにつながる恐れがあります。


BさんがAさんの自転車について事前に知っていれば、BさんはAさんの自転
車をベースに、さらに改良した自転車が発明できたかもしれません。そうすれ
ば、世の中により良い自転車が早く登場することになります。これは条文中に
ある「産業の発達」に他なりません。


通常、発明を生み出す際、ゼロベースで研究開発を行う場合もあると思います
が、何かしらの先行技術(自社や他社の発明)を利用して、さらに新しい発明を
生み出していきます。これら先行技術は特許公報として公開されているので、
しっかりと特許調査を行うことで、先行技術の的確な把握とこれから進めよう
として研究開発の位置づけを明確にすることができます。


つまり、「発明の利用」を図ることはこれまでなされてきた発明(=特許公報と
して発行されている発明)を利用して技術開発を行うこと を意味しています。


このような調査を先行技術調査と呼んでいます。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-4:統計から見る特許調査の必要性


ここまで特許法第一条の「発明の保護」および「発明の利用」から、特許調査
の必要性について解説してきました。


最後に統計情報から見た場合の、特許調査の必要性について述べておきます。


特許行政年次報告書2007年版の92〜93ページに興味深いデータが掲載されて
います。

http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2007/honpen/2-1.pdf

92ページに掲載されている図から、2005年度の研究開発費18兆円の成果として
約37万件の特許出願がなされていることが分かります。もちろん研究開発費の
すべてが特許出願という形にならないケースもありますが。


37万件中審査請求されるのが半分の20万件、そして権利化されるものは4分の1
の約10万件です。残り10万件は拒絶査定で、さらにその半分の5万件は反論の
ない拒絶査定(拒絶理由通知に何にも応答がないもの)です。


通常、審査請求して権利化を目指す特許は、各企業・機関にとって重要な出願
であるはずです。重要な出願であるのにも関わらず、審査請求案件20万件の内
4分の1である5万件は、ある意味ムダになっています。


さらに93ページのグラフを見てください。このグラフは2006年度に拒絶査定さ
れた出願に拒絶理由として引用された公開特許公報が、いつごろ発行された特
許なのかを示しています。


審査請求されると、特許庁審査官は先行技術調査を行って実体審査を行うわけ
ですが、その際出願案件と同一・類似の先行技術(特許など)を見つけると、拒
絶理由通知書を送付します。この拒絶理由通知書に掲載されている引用文献の
公報の分布です。

掲載されている引用文献は1件の場合もありますし、複数の場合もあります。
複数の引用文献が掲載されている場合、もっとも新しい公報だけの分布を示し
たものが青いグラフです。全体の平均を取ったものが赤いグラフです。


このグラフを見ると、ある特許出願を行うと、拒絶理由通知書に掲載されてい
る引用文献は出願から3〜5年前の特許であることが分かります。


十分に調査をせずに特許出願して、審査請求を行う。そして拒絶理由通知書が
届いて十分な先行技術調査を行わなかったことを後悔する・・・


特許調査を十分に行わずに特許出願してしまうと、権利化できないばかりか、
出願費用といった経費のムダ使いになってしまいます。



そのほか、特許調査・特許検索に関連する統計資料として特許庁が昨年4月に
発行した戦略的な知的財産管理に向けて−技術経営力を高めるために−<知財
戦略事例集>の253ページ以降のアンケート調査結果があります。

http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/pdf/shiryou_chiteki_keieiryoku/01.pdf

企業における特許情報の利用に関するアンケート結果として、様々な観点から
アンケートが実施されており参考になると思います。



3:特許検索の鉄則━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本号の解説の中から3つを特許検索の鉄則としてまとめます。


■特許検索の鉄則134
 「発明の保護」という観点から、他社権利に抵触しないように特許調査を
 行う必要がある


■特許検索の鉄則135
 「発明の利用」という観点から、他社の研究開発成果を十分に把握した上で
 自社の研究開発を効率的に進めるために特許調査を行う必要がある


■特許検索の鉄則136
 特許調査を実施することで、無駄な特許出願を減らすことができ、ひいては
 特許出願費用の節約につながる



メルマガ登録・解除 ID: 0000194221
特許電子図書館を使った[特許検索のコツ]

   

バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ

2008-06-15 : 更新