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Vol.63(2008-07-14)


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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2008.07.14━


【本号のテーマ】

 特許電子図書館IPDLを使った「特許検索再入門」(3)


          特許検索における検索条件の整理



■Contents━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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 1:特許検索のネタ

 2:確認事項と検索条件の整理
  2-1: 特許調査は十分?
  2-2: 検索条件とは?
  2-3: 技術的検索条件
  2-4: 非技術的検索条件

 3:特許検索の鉄則



1:特許検索のネタ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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Vol.60から新シリーズ 特許電子図書館IPDLを使った「特許検索再入門」 を始
めました。4月に新たに知財部門や知財担当として配属された方々には、この
シリーズでイチから特許検索のコツ・テクニックを学んでいただければと思い
ます。


今回から、実際に例題を通して特許検索演習を進めて行きたいと思います。
今回の例題は、先日トヨタ自動車が発表した太陽光発電を搭載したハイブリッ
ド車「プリウス」をモティーフにさせていただきたいと思います。


ハイブリッド車「プリウス」、太陽光発電を搭載 トヨタ
出所:NIKKEI.NET

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080707AT1D0600F06072008.html

今回の状況設定として、あなたはABC自動車の知的財産部員とします。
技術者の方から、以下のように頼まれました。


  ハイブリッド自動車の屋根にカーエアコン駆動用電源として
  太陽光発電を利用するシステムを発明をした。
  自分でキーワード検索で特許調査を行ったが、
  他の自動車メーカーからは類似の特許出願はされていないので、
  是非とも日本・米国・欧州へ特許出願を行いたい。


さて、どうしますか?それでは実際に特許検索の実務に入っていきましょう。



2:確認事項と検索条件の整理━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-1:特許調査は十分?


まず知的財産部員として技術者の方に確認すべきことは、どのような検索式で
どの範囲(国・期間)を対象に特許調査を実施したかです。


Vol.60の「2-4:統計から見る特許調査の必要性」でも見たとおり、反論のない
拒絶査定(拒絶理由通知に何にも応答がないもの)は年間5万件にも及びます。


なぜ拒絶査定に反論できないのか?


それは特許庁審査官が調査した引例が、出願した特許の新規性・進歩性を否定
するのに十分な資料だからです。つまり反論をしたくてもできないのです。


それでは、なぜ反論のない拒絶査定が年間5万件も発生しているのか?


それは、特許出願前の先行技術調査を十分に行っていないからです。
                 ~~~~~~

「十分に」という箇所に下線を付与しました。なぜならば、全く先行技術調査
をしていないわけではなく、技術者なり知的財産部員の方々が「ある程度」は
実施しているからです。


「ある程度」実施しているのにも関わらず、審査官が反論できないような引例
を見つけてくる(正確には審査化だけでなく、指定登録機関も含む)のか?


それは、特許庁の審査官が特許検索・特許調査のプロだからです。


ということは、特許出願する際は「ある程度」の調査では不十分で「十分に」
特許調査を行う必要があります。そうしないと、特許出願費用がムダになって
しまう可能性もあるです。


技術者の方で特許検索・特許調査に詳しい方は、あまり多くはないでしょう。
だいたい技術者の方が行う特許検索はキーワードが主体で、特許分類や同義語
まで検討している人は少ないと思います。さらに、いつからいつまでの特許を
調べたのか、実用新案まで含めて調べたのか、等の検索条件があいまいなまま
検索を実施しているケースもあります。


よって、どういった条件で特許検索・特許調査を実施したのかを確認する必要
があります。検索式等が十分であれば、特許出願の準備に取り掛かれば良いで
しょう。もしも特許調査が不十分なのであれば、これからメルマガで解説して
いく手順で特許検索・特許調査を実施していきましょう。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-2:検索条件とは?


Vol.61でも説明したとおり、研究開発の流れに応じて特許検索・特許調査には
いくつかの種類がありました。


今回は、技術者の方がある発明(ハイブリッド車の屋根に太陽光発電)を行って
その特許出願をする前の先行技術調査(新規性調査)になります。


もしも、その技術者の方の発明に近い先行技術(先行する特許)があれば、特許
で権利化できる範囲を十分検討しなければなりません。類似する先行技術が見
つからないのであれば、可能な限り権利範囲の広いクレームで出願します。


さて、今回の先行技術調査だけに限りませんが、特許検索・特許調査を行う前
には検索条件を整理する必要があります。


検索条件には

  a) 技術的検索条件
  b) 非技術的検索条件

の2つがあります。技術的検索条件とは、調査対象となる技術−今回はハイブ
リッド車の屋根に太陽光発電−に関する条件の整理です。もう1つの非技術的
検索条件とは、例えば調査対象国、調査対象公報(特許・実用新案)や調査対象
期間といった調査対象技術以外の条件になります。


実際の特許検索に着手する前に、この2つの検索条件について整理する必要が
あります。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-3:技術的検索条件


技術的検索条件は上述のとおり、調査対象となる技術に関する条件です。
具体的には

   背景技術
   課題・目的
   技術的特徴
   作用・効果

の4つが代表的なものです。発明はある課題や目的に対して、何らかの解決手
段を用いて、その課題・目的を達成するものです。つまり


  ある(背景技術)において、○○という課題があったが、△△という解決
  手段を適用することで、○○を克服し、さらに□□という効果がある


という文章で調査対象技術を捉えることが重要です。もちろん、すべての発明
がこのようなフォーマットに収まるわけではありませんが・・・・


今回の調査対象技術を


  ハイブリッド自動車の屋根にカーエアコン駆動用電源として
  太陽光発電を利用するシステムを発明をした。
  自分でキーワード検索で特許調査を行ったが、
  他の自動車メーカーからは類似の特許出願はされていないので、
  是非とも日本・米国・欧州へ特許出願を行いたい。


4つに分解してみると、


   背景技術 :ハイブリッド自動車のカーエアコン
   課題・目的:
   技術的特徴:カーエアコン駆動用電源として太陽光発電
   作用・効果:


となり、課題・目的や作用・効果は埋まりません。実際は技術者にヒアリング
して課題・目的や作用・効果についても埋めることができれば理想的です。
今回は仮想の事例なので、ブランクにしておきます。


これで技術的検索条件についてひととおり整理が終わりました。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-4:非技術的検索条件


次に非技術的検索条件ですが、既に述べたとおり、以下のようなものが代表的
な非技術的検索条件となります。


 調査対象国 :日本・米国・欧州・中国・韓国・・・・
 調査対象期間:5年間、10年間、20年間 ・・・・・・・
 調査対象公報:特許・実用新案
 内製/外注
 納品形態
 納期


今回のケースでは、技術者から「是非とも日本・米国・欧州へ特許出願を行い
たい」という要望が出ているので、調査対象国は日米欧3ヶ国になりますが、
欧州というのは要確認です。EP特許だけで良いのか?それとも、ドイツなどの
各国特許も調べるのか確認する必要があります。


今回の例題では、欧州はEP特許のみを対象にします。


次に調査対象期間です。侵害防止調査のように調査対象期間が決まっている調
査もありますが、今回の例のような先行技術調査は特に定まった調査対象期間
はありません。対象となる技術分野のライフサイクルなどを考慮して、期間を
決めれば良いでしょう。


調査対象公報は、特に実用新案を含めるか否かです。日本では実用新案の重要
性が益々低下していますが、逆に中国のように実用新案の出願件数が急激に増
加しており、実用新案調査を無視できないような国もあります。実用新案制度
がある国はそれほど多くはありませんが、そのような国々を調査する際は調査
対象公報を特許のみに限定するか、実用新案まで含めるか検討する必要があり
ます。


最後の3つは非技術的検索条件の中でもオマケのようなものです。


技術者の方が主体となって先行技術調査を実施する場合にしても、知的財産部
員の方が主体となって先行技術調査を実施する場合であっても、いずれの場合
でも、特許調査・特許検索自体が仕事ではなく、その他の業務の合間を縫って
特許調査をしなければいけません。よって、このような場合、先行技術調査を
内製ではなく、調査会社に外注するのも1つの手です。


納品形態は、特に先行技術調査を外注した場合に考える必要があります。外注
先から調査結果が帰ってきて、その結果をもとにして技術者とのディスカッシ
ョンや特許明細書の作成を行います。それらの業務フローが円滑に流れるよう
に納品形態を指定する必要があるでしょう。


最後の納期ですが、内製にしても外注にしても重要です。開発のスケジュール
等もありますので、それに影響を及ぼさないように注意する必要があります。



3:特許検索の鉄則━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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本号の解説の中から3つを特許検索の鉄則としてまとめます。


■特許検索の鉄則139
 特許検索を行う前に

   技術的検索条件 / 非技術的検索条件

 を確認する必要がある


■特許検索の鉄則140
 技術的検索条件では、調査対象技術を

   a) 背景技術
   b) 課題・目的
   c) 技術的特徴
   d) 作用・効果

 の4つから整理する


■特許検索の鉄則141
 非技術的検索条件では、

   a) 調査対象国 :日本・米国・欧州・中国・韓国・・・・
   b) 調査対象期間:5年間、10年間、20年間 ・・・・・・・
   c) 調査対象公報:特許・実用新案
   d) 内製/外注
   e) 納品形態
   f) 納期

 等を確認する。



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特許電子図書館を使った[特許検索のコツ]

   

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2008-07-20 : 更新