Vol.73(2009-02-24)




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       特許電子図書館を使った【特許検索のコツ】

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2009.02.23━

【本号のテーマ】

 特許電子図書館IPDLを使った「特許検索再入門」(12)


           検索項目の探し方(その6)



■Contents━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 1:特許検索のネタ

 2: 検索項目の探し方(その6)
  2-1: 調査対象範囲を包含する特許分類を探す
  2-2: ハイブリッド車関連特許分類
  2-3: エアコン関連特許分類
  2-4: 太陽光発電関連特許分類
  2-5: IPCではなくFIを探す理由

 3:特許検索の鉄則

 ◇ショートカット


1:特許検索のネタ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


Vol.60から新シリーズ 特許電子図書館IPDLを使った「特許検索再入門」 を始
めました。新たに知財部門や知財担当として配属された方々には、このシリー
ズでイチから特許検索のコツ・テクニックを学んでいただければと思います。


Vol.63からトヨタ自動車が発表した太陽光発電を搭載したハイブリッド車「プ
リウス」を例題として設定しています。


ハイブリッド車「プリウス」、太陽光発電を搭載 トヨタ
出所:NIKKEI.NET

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080707AT1D0600F06072008.html

今回の状況設定として、あなたはABC自動車の知的財産部員とします。
技術者の方から、以下のように頼まれました。


  ハイブリッド自動車の屋根にカーエアコン駆動用電源として
  太陽光発電を利用するシステムを発明をした。
  自分でキーワード検索で特許調査を行ったが、
  他の自動車メーカーからは類似の特許出願はされていないので、
  是非とも日本・米国・欧州へ特許出願を行いたい。


前回(Vol.071)は今回はパテントマップガイダンスとPATOLISサーチガイドの
画面構成を中心に解説しました。今回は実際に今回の例〜ハイブリッド自動
車の屋根にカーエアコン駆動用電源として太陽光発電を利用するシステム〜
を使って特許分類を探していきます。



2: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━検索項目の探し方(その6)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━━━━━━2-1:調査対象範囲を包含する特許分類を探す


今回は実際にパテントマップガイダンスを利用して「太陽光発電を搭載したハ
イブリッド車」の特許分類を探していきましょう。


 パテントマップガイダンス
 http://www5.ipdl.inpit.go.jp/pmgs1/pmgs1/pmgs


特許分類を探す方針としてはVol.065で決定した調査対象範囲である


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        |HEV |HEV   |HEV以外|HEV以外 |
        |エアコン|エアコン以外|エアコン |エアコン以外|
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 太陽光発電  | A1 |  A1’ | −   |  −   |
 (屋根設置)  |    |      |     |      |
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 太陽光発電  | B1 |  B1’ | −   |  −   |
 (屋根以外設置)|    |      |     |      |
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 太陽光発電以外| −  |  −   | −   |  −   |
 (屋根設置)  |    |      |     |      |
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 太陽光発電以外| −  |  −   | −   |  −   |
 (屋根以外設置)|    |      |     |      |
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


A1,A1',B1,B1'を包含するための分類を探していきます。この調査対象範囲を
包含するためには


 a) ハイブリッド車
 b) エアコン
 c) 太陽光発電


の3つが必須です。それぞれ要素ごとに分類を探していきましょう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-2:ハイブリッド車関連特許分類


まずは「ハイブリッド車」です。パテントマップガイダンスのキーワード検索
を利用して分類を探します。

----------------------------------------------------------------------

                       照会画面
 キーワード                 ○FI
                       ●FIハンドブック
 AND                     ○IPC第8版(日付指定)
                       ○Fタームリスト
 サーチ範囲(分類コード、テーマコード)    ○Fターム解説

----------------------------------------------------------------------

前回Vol.071のメールマガジンでも説明したとおり、照会画面はデフォルトで
は「FIハンドブック」にチェックがついていますが、「FIハンドブック」には
分類定義以外にも補足説明や関連分野が掲載されていますので、このままの設
定で検索します。


特許分類というとIPC(国際特許分類)を思い浮かべます。なぜIPCではなくFIを
調べるのか?この理由はメルマガ末尾で解説します。


キーワードのところに「ハイブリッド車」と入力して検索ボタンを押すと10件
の特許分類がヒットします。

----------------------------------------------------------------------
FI      説明
----------------------------------------------------------------------
B60K9/00C   電動モータとエンジンのハイブリッド車
B60K9/00E   配置または取付け以外にも特徴を有するもの
B60K17/04G  ハイブリッド車用
B60L7/20   機関により駆動される発電機をもつ車両の原動機に回生力を
       加えて制動するもの
B60L11/00   乗物の内部に動力供給源をもつ電気的推進装置
B60L11/12   付加的な電力を供給されるものをもつもの,例.蓄電池
B60L11/14   直接機械的に推進される設備をもつもの
F02D29/02D  駆動源として電動機も備えた車両用
F02D29/06D  車両駆動モ−タ用発電機
F02N11/04D  ハイブリッド車用
----------------------------------------------------------------------

この10件の分類は説明や補足説明・関連分野に「ハイブリッド」と入っている
分類です。まずはこれらの特許分類をハイブリッド車関連特許分類としてメモ
するか、Excel等にコピー&ペーストしておきます。


またこの際に注意すべきは説明の中のカッコ書きや補足説明・関連分野です。
ヒットした10件の分類の説明にカッコ書きがあるのは


B60L11/00   乗物の内部に動力供給源をもつ電気的推進装置
       (B60K8/00,B60K13/00が優先;相互または
       共通推進のための電気モータおよび内燃機関からなる原動力の
       配置または取り付けB60K6/20;ハイブリッド車両に特
       に適した制御方式B60W20/00)[5,6,8]


です。このカッコ書きには探している分野の特許分類に関する有益な情報が含
まれています。B60L11/00であれば、ヒットした10件の分類以外に、

----------------------------------------------------------------------
FI      説明
----------------------------------------------------------------------
B60K6/20   相互または共通推進のための電気モータおよび内燃機関からな
       る原動力の配置または取り付け
B60W20/00   ハイブリッド車両に特に適した制御方式
       ※FIにはB60Wはなし。IPCですが参考として掲載
----------------------------------------------------------------------

もハイブリッド関連特許分類であることが分かります。

さらに関連分野を見ることで、さらに特許分類を捕捉することが出来ます。

----------------------------------------------------------------------
FI      説明
----------------------------------------------------------------------
B60K17/04   ハイブリッド車両の動力伝達装置の配置又は取付け
B60L     ハイブリッド車両の電動機制御
F02D29/    ハイブリッド車両のエンジン制御
H02K7/    エンジン系とモーター系との結合装置
B60K41/    ハイブリッド車両の複合制御
B60L1/    ハイブリッド車
B60L11/    ハイブリッド車
----------------------------------------------------------------------

ここでピックアップした特許分類でハイブリッド車すべてが網羅されているわ
けではありません。しかしパテントマップガイダンスでキーワード検索だけで
100%特許分類を網羅するのは非常に難しいと思います。


パテントマップガイダンスで可能な範囲について特許分類を抽出して、その後
実際の予備検索を行って特許分類を補足していくのが良いと思います。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-3:エアコン関連特許分類


続いてエアコン関連特許分類です。エアコンをパテントマップガイダンスでキ
ーワード検索すると39件ヒットします。ヒットした分類の数が多いので、ヒッ
トした特許分類をざっくりと層別化して示すと


◆エアコン・空気調和関連特許分類

 B60H 特に車両の客室または貨物室の暖房,冷房,換気,または他の空気
    処理手段に関する装置または改造装置
 F24F 空気調節;空気加湿;換気;しゃへいのためのエアカーテンの利用

◆エアコン・空気調和の部品関連特許分類

 F04B 液体用容積形機械;ポンプ (エアコン用コンプレッサ)

◆エアコン・空気調和の制御関連特許分類

 B60K 車両の推進装置または動力伝達装置の配置または取付け;複数の異
    なった原動力の配置または取付け;補助駆動装置;車両用計装また
    は計器板;車両の推進装置の冷却,吸気,排気または燃料供給に関
    する配置 (補機制御)
 F02D 燃焼機関の制御 (補機制御)


になります(掲載していない分類はその他)。エアコンそのものの分類は、上述
のとおり自動車用エアコンの分類であるB60Hか、特に用途については限定して
いないF24Fになります。


エアコン部品やエアコン関連制御(特にエアコン用コンプレッサの制御)につい
ても、先行開発段階からより具体的な開発段階に移行した際には調査をすべき
かもしれませんが、現段階では調査対象範囲外として含めないでおきます。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-4:太陽光発電関連特許分類


最後に太陽光発電関連特許分類です。太陽光発電でキーワード検索すると、
以下の2件がヒットします。

----------------------------------------------------------------------
FI      説明
----------------------------------------------------------------------
H02J3/38   2個以上の発電機,コンバータまたは変圧器により単一回路網
       へ並列給電するための装置
H02J17/00A  マイクロ波給電または配電
----------------------------------------------------------------------

説明や補足説明を見ると、これらのFIは太陽光発電そのものの特許分類ではな
いと分かります。太陽光発電そのものの分類はないかと探すと、H02J3/38の関
連分野に

    H01L31/04@K 太陽光発電システム

が赤太字になっているのに気づきます。このH01L31/04@Kをクリックすると、
H01L31/00の分類リストが表示されます。H01L31/04@KのFIの上位を見ると


H01L31/00  赤外線,可視光,短波長電磁波または粒子線輻射に感応する
       半導体装置で,これらの輻射線のエネルギーを電気エネルギー
       に変換するかこれらの輻射線によって電気エネルギーを制御す
       るかのどちらかに応用されるもの;それらの装置またはその部
       品の製造または処理に特有な方法または装置;それらの装置の
       細部
H01L31/04  ・変換装置として使用されるもの


とあり、H01L31/04の補足説明には


      太陽電池,電力用光起電力素子


と書いてあります。まさに今回探している太陽光発電=太陽電池の分類です。
今回は特許分類を探し出すためのキーワードについて、かなりラフに検索して
います。ラフにすると、この太陽光発電のように、一発で関連する特許分類が
ヒットしないこともありますので、十分留意しましょう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-5: IPCではなくFIを探す理由


今回はパテントマップガイダンスを利用してFIを探していきました。


なぜIPCではなくFIなのか?


理由は2つあります。


1つ目は理由。それは分類の細かさです。

そもそもIPCはご存知の通り国際特許分類。つまり世界各国の特許に付与され
います。それと同時に日本・米国・欧州は自国独自の分類体系を構築していま
す。日本ではFI・Fターム、米国ではUSC、欧州ではECLAです。

当然のことながら、これら自国独自分類はIPCよりも細分化されています。
つまりIPCで検索するよりも、より的が絞った検索が可能になります。


2つめの理由。それは版の改正です。

それはIPCよりもFIの方が版による違いを"それほど"考慮しなくても済むから
です。IPC第7版までは5年に1回改定されていました。この改定に伴って、大幅
に分類が変更となる技術分野もありました。よって、過去のある程度の期間ま
でIPCを使って遡及検索を行う場合は、版の違いを考慮する必要があります。

それに比べるとFIというのはIPCほど大幅な改正・変更がないため、版の違い
をそれほど意識せずに検索を行うことができます。

※あくまでも私個人の感覚ですが、5年前ぐらいと比べると最近FIも頻繁に
 改正していると感じます。


例えば今回の検索要素であるハイブリッド車は第8版から新たに

 IPC第8版(2006.01)

 B60W10/00 異なる種類又は異なる機能の車両用サブユニットの関連制御

 B60W20/00 ハイブリッド車両,すなわち,全て車両の推進に使用される2
       以上の種類の2以上の原動力,例.電動機と内燃機関,を有す
       る車両,に特に適した制御システム

のハイブリッド車制御関連特許分類が新設されていました。しかし、これらは
もともとB60KやB60LまたはF02Dに付与されていました。よって、IPCのB60Wで
検索してヒットした公報を見ると、付与されているFIはB60K・B60L・F02Dなど
が付与されています。極端な言い方をしてしまうと、B60Wを知らなくてもFIさ
え知っていればハイブリッド車の集合を形成することができるのです。


※ハイブリッド車については最近B60KのFIに改正がありました。


他に検索要素である太陽光発電を見ると。版ごとに

IPC 第4版 H01L31/04 ・変換装置として使用されるもの
  第5版 H01L31/042 ・・光電池のパネルまたは配列を含むもの,
           例.太陽電池 
  第6版 H01L31/042 ・・光電池のパネルまたは配列を含むもの,
           例.太陽電池 
  第7版 H01L31/042 ・・光電池のパネルまたは配列を含むもの,
           例.太陽電池 
  第8版 H01L31/042 ・・光電池のパネルまたは配列を含むもの,
  (2006.01)     例.太陽電池 

となってます。第5版でH01L31/042が新設されてて、それ以降変更がないので
すが、FIであればH01L31/04およびその下位分類が整備されていますのでIPC
を使わなくても太陽光発電・太陽電池について網羅的に検索することができ
ます。

Fタームについては触れていませんが、FIと同様の位置づけです。つまりIPC
よりもFタームの方があればそちらを優先します。よって

   FI・Fターム > IPC

のような優先順位で特許分類を探していきます(あくまで私個人の方法です)。


次回は今回抽出した特許分類を使って予備検索を行っていきます。



3:特許検索の鉄則━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

以前の特許検索の鉄則3つを再掲し、本号の解説の中から3つを特許検索の鉄則
としてまとめます。


■特許検索の鉄則019 (再掲)
 キーワードからIPC(またはFIやFターム)を探すことは、IPCの説明・定義の
 キーワード検索をしていることと同じ。


■特許検索の鉄則154 (再掲)
 FIハンドブックとは特許庁の審査官が各FIについて、その運用や関連技術
 分野について説明したものである


■特許検索の鉄則157 (再掲)
 パテントマップガイダンスで照会画面を「FIハンドブック」「Fターム
 解説」にすると、「FI」「Fタームリスト」よりも広範囲に特許分類を
 ヒットさせることができる


■特許検索の鉄則159
 特許分類を探す場合は、分類の説明文だけではなく、説明文中のカッコ
 書きやFIハンドブックの関連分野も注意する


■特許検索の鉄則160
 入力したキーワードでヒットした特許分類が、対象技術分野の特許分類と
 関連しない場合はキーワードを変更してみる


■特許検索の鉄則161
 IPCを細分化したものがFIやFタームであるので、特許分類を探す場合は
 FIやFタームを優先で探す





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ショートカット
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ショートカットでは、メルマガ内で説明したウェブサイトへの
リンクをまとめています

・パテントマップガイダンス

http://www5.ipdl.inpit.go.jp/pmgs1/pmgs1/pmgs

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2009-02-24 : 更新