Vol.76(2009-04-06)




■Contents━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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 1:特許検索のネタ

 2:予備検索から検索式作成へ(3)
  2-1: 特許分類とキーワードの掛け算(2)
  2-2: 特許分類の付与
  2-3: 特許分類とキーワードの掛け算(3)

 3:特許検索の鉄則



1:特許検索のネタ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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Vol.60から新シリーズ 特許電子図書館IPDLを使った「特許検索再入門」 を始
めました。新たに知財部門や知財担当として配属された方々には、このシリー
ズでイチから特許検索のコツ・テクニックを学んでいただければと思います。


Vol.63からトヨタ自動車が発表した太陽光発電を搭載したハイブリッド車「プ
リウス」を例題として設定しています。


ハイブリッド車「プリウス」、太陽光発電を搭載 トヨタ
出所:NIKKEI NET 日経Ecolomy

http://eco.nikkei.co.jp/news/nikkei/article.aspx?id=AS1D0600F%2006072008

今回の状況設定として、あなたはABC自動車の知的財産部員とします。
技術者の方から、以下のように頼まれました。


  ハイブリッド自動車の屋根にカーエアコン駆動用電源として
  太陽光発電を利用するシステムを発明をした。
  自分でキーワード検索で特許調査を行ったが、
  他の自動車メーカーからは類似の特許出願はされていないので、
  是非とも日本・米国・欧州へ特許出願を行いたい。


今回は予備検索の続きで、特許分類とキーワードの掛け算について詳しく見て
いきましょう。



2: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 予備検索から検索式作成へ(3)
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━━━━━━━━━━━━━━━━━2-1: 特許分類とキーワードの掛け算(2)


何度も繰り返しになりますが、以下の鉄則は覚えていますね?


  ■特許検索の鉄則 022

   検索式の基本パターンは以下の3通り
    1) キーワードのみ
    2) 特許分類のみ
    3) キーワードと特許分類の掛け算


この鉄則が特許検索式作成の基本になります。この基本をいろいろな形で組み
合わせることで複雑な数十行・100行を超える検索式になります。


この検索式の基本パターンの中で個人的にオススメするのは


    3) キーワードと特許分類の掛け算


です。今回の例であればハイブリッド車・エアコン・太陽光発電の3つの観点
がありますから、どれをキーワードにして、どれを特許分類にするか考える必
要があります。


ここに前回も登場した鉄則を組み合わせてみましょう。


 ■特許検索の鉄則 075

  特許分類同士の掛け算で検索式を作成する場合は、

     背景技術に関する特許分類 × 技術的特徴の特許分類

  の掛け算にすると良い


これを以下のように変えてみます。


     背景技術に関する特許分類またはキーワード 

            and

     技術的特徴の特許分類またはキーワード

            and

     技術的特徴の特許分類またはキーワード


特許分類同士のみの演算であったのを、特許分類またはキーワードに変更する
ことで「特許検索の鉄則 022」の「3)キーワードと特許分類の掛け算」に対応
しました。


ところで、今回のテーマで背景技術って何でしょうか?


そうです!ハイブリッド車です。ハイブリッド車のエアコン駆動用電源が調査
               ~~~~~~~~~~~~~~~~
のテーマですから、背景技術は「ハイブリッド車」になります。次に技術的特
徴ですが、言うまでもないことですが「エアコン」と「太陽光発電」です。


 a) ハイブリッド車  背景技術
 b) エアコン     技術的特徴
 c) 太陽光発電    技術的特徴


さて、項目ごとに特許分類にするか、またはキーワードにするか、どのように
決めれば良いのでしょうか?



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2-2:特許分類の付与


特許分類は当然のことながら人間が付与しています(一部機械で)。人間が内容
を確認して付与しているということは、特許明細書の書き方によって特許分類
の付与が揺らぐことを意味しています。


以下の3点の記載を見てください。


  1)太陽光発電を駆動用電源としたエアコンを備えたハイブリッド車
  2)ハイブリッド車に設置された太陽光発電を駆動用電源とするエアコン
  3)ハイブリッド車用エアコンの駆動用電源として用いる太陽光発電装置


それぞれ文章末尾を「ハイブリッド車」、「エアコン」、「太陽光発電装置」
と分けています。この1)〜3)の文章がそのまま【発明の名称】になっていた
場合、どんな特許分類が付与されると思いますか?


※ 2-1でハイブリッド車を背景技術と述べましたが、これは「1)太陽光発電を
 駆動用電源としたエアコンを備えたハイブリッド車」を前提として考えた場
 合です。着目点によってはエアコンが背景技術になる(上の2)のパターン)場
 合も当然有り得るわけです。


私もちゃんと調べたことはありませんが、特許分類は最後の名詞に多大な影響
を受けて付与されると考えれます。つまり、特許分類(FI)は


  1)B60L, B60K6/04 など
  2)B60H
  3)H01L31/04


のように付与されると予想されます。


このメルマガで特許分類を使った検索をオススメしていますが、所詮特許分類
も人間が付与しているものですから完全ではありません。完全ではないが故に
その不完全さを補うために工夫する必要があります。


ちょっと横道にずれてしまいました。


それでは、


  1)太陽光発電を駆動用電源としたエアコンを備えたハイブリッド車
  2)ハイブリッド車に設置された太陽光発電を駆動用電源とするエアコン
  3)ハイブリッド車用エアコンの駆動用電源として用いる太陽光発電装置


の中で3パターンとも有り得るでしょうか?個人的な意見かもしれませんが、
「3)ハイブリッド車用エアコンの駆動用電源として用いる太陽光発電装置」は
あまりにも権利化するのには狭すぎる気がします。もしも「ハイブリッド車に
搭載することを目的とした太陽光発電装置」ならまだ分かりますが・・・・


よって、パターン3)(太陽光発電の特許分類が付与されている)はない、よって
「太陽光発電」は特許分類ではなく、キーワードを用います。


 a) ハイブリッド車  背景技術
 b) エアコン     技術的特徴
 c) 太陽光発電    技術的特徴 ⇒ キーワード



━━━━━━━━━━━━━━━━━2-3: 特許分類とキーワードの掛け算(3)


それでは、「ハイブリッド車」と「エアコン」は特許分類・キーワードのいず
れを利用すれば良いでしょう?


ちょっと前の話になりますが思い出してください。


以前のメルマガになりますが、以下のようなマトリックスで検索対象範囲を
整理しました。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        |HEV |HEV   |HEV以外|HEV以外 |
        |エアコン|エアコン以外|エアコン |エアコン以外|
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 太陽光発電  | A1 |  A1’ | −   |  −   |
 (屋根設置)  |    |      |     |      |
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 太陽光発電  | B1 |  B1’ | −   |  −   |
 (屋根以外設置)|    |      |     |      |
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 太陽光発電以外| −  |  −   | −   |  −   |
 (屋根設置)  |    |      |     |      |
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 太陽光発電以外| −  |  −   | −   |  −   |
 (屋根以外設置)|    |      |     |      |
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                        ※メルマガVol.65より


今回の検索対象範囲は「A1,A1',B1,B1'」なので、ハイブリッド車(HEV)とエア
コンのいずれが優先順位が高いかと言えばハイブリッド車になります。


なぜか?


上記マトリックスよりハイブリッド車のエアコンであっても、エアコン以外の
補機であっても構わないからです。つまり欠かせない要素はハイブリッド車で
す。よって先ほどの


  1)太陽光発電を駆動用電源としたエアコンを備えたハイブリッド車
  2)ハイブリッド車に設置された太陽光発電を駆動用電源とするエアコン
× 3)ハイブリッド車用エアコンの駆動用電源として用いる太陽光発電装置


では1)のような特許を抽出する、つまりハイブリッド車関係の特許分類が付与
されている特許を抽出する、ということで


 a) ハイブリッド車  背景技術  ⇒ 特許分類
 b) エアコン     技術的特徴 ⇒ キーワード
 c) 太陽光発電    技術的特徴 ⇒ キーワード


と決定します。最終的に検索式は


     背景技術「ハイブリッド車」に関する特許分類

            and

     技術的特徴「エアコン(補機)」のキーワード

            and

     技術的特徴「太陽光発電」キーワード


になります。これはまさに「3)キーワードと特許分類の掛け算」です。


蛇足ですが、エアコン主体で考えるのであれば「エアコン(補機)」を特許分類
にして、「ハイブリッド車」をキーワードにすれば良いです。また、幅広く先
行特許を収集したいというのであれば、ハイブリッド車主体の場合とエアコン
主体の場合の2パターン両方を実施すれば良いでしょう。


次回は実際の検索と検索結果の評価を行います。



3:特許検索の鉄則━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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以前の特許検索の鉄則2つを再掲し、本号の解説の中から1つを特許検索の鉄則
としてまとめます(以前の鉄則の改造版)。


■特許検索の鉄則022 (再掲)
 検索式の基本パターンは以下の3通り
  1) キーワードのみ
  2) 特許分類のみ
  3) キーワードと特許分類の掛け算


■特許検索の鉄則075 (再掲)
 特許分類同士の掛け算で検索式を作成する場合は、

      背景技術に関する特許分類 × 技術的特徴の特許分類

 の掛け算にすると良い


■特許検索の鉄則075'
 キーワードと特許分類の掛け算で検索式を作成する場合は、

      背景技術に関する特許分類/キーワード
          and
      技術的特徴(1)の特許分類/キーワード
          and
      技術的特徴(2)の特許分類/キーワード
          and
      技術的特徴(3)の特許分類/キーワード

 の掛け算にすると良い





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特許電子図書館を使った[特許検索のコツ]

   

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2009-05-11 : 更新