e-patent > コラム > 身近な特許・意匠 > ナショナルの乗馬フィットネス・JOBA

作成 : 2007.12.03

 

最近CMでビーチバレーの浅尾美和選手やアーチェリーの山本博選手が出ているナショナル(松下電器産業)のJOBA(ジョーバ)。

 

 

 

最近ビックカメラに行った際に、フィットネス機器コーナーで実際に乗ってみました。結構、腰というよりも上半身全体に効くものですね。3分ぐらいしか乗っていませんでしたが、ちょっとした運動になりました(ただの運動不足・・・?)

 

このJOBA(ジョーバ)について知りたい場合は、以下のサイトがあります。
 

 

ジョーバの歴史を見ると、1993年から乗馬療法システムの開発に着手したとあります。1993年というと、特許電子公報がスタートした年ですね。

 

今回はこのナショナルのジョーバ関連特許を調べてみました。

 

まずは特許電子図書館・公報テキスト検索で松下電器産業および松下電工・名義のジョーバ関連特許を探します。
 

  • 出願人/権利者 : 松下電器産業 松下電工
  • 要約/請求の範囲 : 馬

 

松下電器産業の特許の中で「馬」と書いてありそうな特許はジョーバぐらいだろう、との推測でキーワードは「馬」だけにしました。

 

すると乗馬フィットネスとは関係のない特許(=ノイズ)もたくさん出てきますが、その中でジョーバ関連特許と思われる特許が見つかりました。

 

◆ジョーバ関連特許(1)

 

Joba_2007260174【発明の名称】揺動型運動装置
【出願番号】特願2006-89596
【出願日】平成18年3月28日
【公開番号】特開2007-260174
【公開日】平成19年10月11日
【出願人】松下電工株式会社
【要約】
【課題】 使用者が揺動型運動装置で揺動運動を行うのを忘れたり外出している場合に、音声等にて報知して揺動運動による訓練を促すことができる揺動型運動装置を提供する。
【解決手段】 使用者が着座する座部2と、この座部2を具備する運動装置本体1Aと、座部2を揺動させる座部揺動装置3とを備えた揺動型運動装置1において、揺動運動を行っていない時に、又は揺動運動を行っている時および揺動運動を行っていない時に、一定時間毎に音声を出力する音声出力部8を設けた。

 

◆ジョーバ関連特許(2)

 

Joba_2007125411【発明の名称】バランス訓練装置
【出願番号】特願2006-356102
【出願日】平成18年12月28日
【公開番号】特開2007-125411
【公開日】平成19年5月24日
【出願人】松下電工株式会社
【要約】
【課題】室内に設置するものとしてあぶみが違和感を呈することがないバランス訓練装置を提供する。
【解決手段】使用者が乗馬 姿勢で着座することのできる鞍型湾曲面を上部に有した座席部2と、座席部に揺動運動を行わせる駆動装置とを備える。座席部の側部に接続されるあぶみ支持部11と、あぶみ支持部11の先端に設けられたあぶみ足載せ部12とを備えるとともに、あぶみ支持部11に対してあぶみ足載せ部12を前後に回動自在に接続している。

 

さて、関連公報が見つかりました。次に松下電器産業・松下電工は何件ぐらいジョーバ関連特許を出願しているのか、網羅的に調べてみることにしましょう。
 

上記の関連公報2件に付与されているIPCを見ると、

 

A63B  身体の鍛錬,体操,水泳,登はん,またはフエンシング;球技;訓練用具
A63B22/00  心臓血管系を良い状態にするため,動作の敏捷性または整合性を仕込むため特に適合した鍛練装置
A63B22/02  ・可動無端帯を有するもの
A63B22/04  ・可動踏台を有するもの
A63B22/06  ・回転する循環動作をするもの
A63B22/08  ・・脚用
A63B22/10  ・・腕用
A63B22/12  ・・脚腕同時用
A63B22/14  ・垂直軸まわりの往復する回転運動のためのプラツトフオ-ム
A63B22/16  ・水平軸まわりの揺動運動のためのプラツトフオ-ム;バランスドラム;バランスボ-ドまたは類似のもの
A63B22/18  ・使用者の振動動作によつて発生される循環運動または回転運動をする部材を有するもの
A63B22/20  ・鍛練中床または他の表面上を動かされるロ-ラ,車輪,脚輪または類似のものを用いるもの
A63B69/00  特殊なスポ-ツのための訓練用具または装置
A63B69/02  ・剣術用
A63B69/04  ・馬の運動をまねるもの
A63B69/06  ・競漕およびスカル競漕
A63B69/08  ・・水を満したプ-ルを有するもの
A63B69/10  ・水なしで使用する水泳教習装置
A63B69/12  ・水泳を教えるために水泳プ-ル中に設ける装置
A63B69/14  ・・水泳用教習枠
A63B69/16  ・サイクリング用
A63B69/18  ・スキ-用
A63B69/20  ・パンチングボ-ル
A63B69/22  ・・固定された支持体にとりつけられたものまたはつるされたもの
A63B69/24  ・・動く支持体にとりつけられたものまたはつるされたもの
A63B69/26  ・・・身体にとりつけられたもの
A63B69/28  ・・ボ-ルの反対側にある付属物
A63B69/30  ・・・はね返す付属物
A63B69/32  ・・指示手段を有するもの
A63B69/34  ・ボクシングまたはフツトボ-ル用ダミ-
A63B69/36  ・ゴルフ用
A63B69/38  ・テニス用
A63B69/40  ・据えつけられた投球装置

 

が付与されています。ので、このIPCのいずれかが付与されている特許が「ジョーバ関連特許」として考えられます。再び特許電子図書館・公報テキスト検索を使って
 

  • 出願人/権利者 : 松下電器産業 松下電工
  • IPC : A63B22/16 A63B69/04

 

の条件で検索すると57件がヒットします(公報種別:公開特許公報 (公開、公表、再公表)。ちなみに公告・登録では15件ヒットします)。

 

57件中でジョーバ関連特許として最も古い特許は「特開平11-004910:バランス訓練装置」でした。

 

◆ジョーバ関連基本特許

 

Joba_11004910【発明の名称】バランス訓練装置
【出願番号】特願平9-161317
【出願日】平成9年(1997)6月18日
【公開番号】特開平11-4910
【公開日】平成11年(1999)1月12日
【出願人】松下電工株式会社
【要約】
【課題】慣れを生じにくくして平衡感覚の訓練効果を高めたバランス訓練装置を提供する。
【解決手段】座席1はパラレルメカニズム2により、前後方向、左右方向、上下方向の位置、および前後軸、左右軸、上下軸の回りの傾きが可変になっている。パラレルメカニズム2に動作指示を与える制御装置3は、人の脚部の運動により生じる腰部付近の各方向の位置および各軸回りの傾きを模擬する施療パターンを生成し、かつ施療パターンを時間経過に伴って変化させる。

 

この特許は登録査定を受けていて、特許請求の範囲は以下のようになっています。

 

【発明の名称】バランス訓練装置
【出願番号】特願平9-161317
【出願日】平成9年6月18日
【公開番号】特開平11-4910
【公開日】平成11年1月12日
【審査請求日】平成12年5月8日
【特許番号】特許第3394889号
【登録日】平成15年1月31日
【発行日】平成15年4月7日
【特許権者】松下電工株式会社
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被訓練者が着座する座席と、座席の前後方向、左右方向、上下方向の位置を変化可能とするとともに前後軸、左右軸、上下軸の回りの傾きを変化可能とする駆動手段と、座席の各方向の位置および各軸回りの傾きを駆動手段に指示する施療パターンを生成するパターン生成部とを備え、パターン生成部は、人の脚部の運動により生じる腰部付近の各方向の位置および各軸回りの傾きを模擬した基本パターンに、外部負荷に応じた腰部付近の各方向の位置および各軸回りの傾きの変化を模擬した負荷データを適宜のタイミングで加算した施療パターンを生成し、かつ施療パターンを時間経過に伴って変化させることを特徴とするバランス訓練装置。

 

ここで注意なのが、この特許第3394889号は登録公報になった時点でIPCが変更されていることです。登録公報では
 

  • 第3394889号のIPC
  • A61H1/00,311:・バイブレ-シヨン装置
  • A63B22/00:心臓血管系を良い状態にするため,動作の敏捷性または整合性を仕込むため特に適合した鍛練装置
  • A63B24/00:前のグル-プの鍛練装置のための電気または電子制御

 

となっているのですが、公開段階では

 

  • 特開平11-004910のIPC
  • A63B22/16:・水平軸まわりの揺動運動のためのプラツトフオ-ム;バランスドラム;バランスボ-ドまたは類似のもの
  • A61H1/02:・運動のための伸長または屈曲装置
  • A63B24/00:前のグル-プの鍛練装置のための電気または電子制御

 

でした。A63B22/16とA61H1/02の2つのIPCに変更がありました。

 

よって、ナショナルのジョーバ関連特許を網羅的に検索するためには
 

  • 出願人/権利者 : 松下電器産業 松下電工
  • IPC : A61H1/? A63B22/? A63B69/04

 

と修正した方が良さそうです(もちろんノイズ公報の件数は増えてしまいますが・・・)。

 

ちなみにナショナルのジョーバ関連基本特許は本当に基本特許か?という問題ですが、審査の過程で審査官引用例として以下の特許が引用されています。

 

Joba_06065350【発明の名称】バランス訓練装置
【出願番号】特願昭59-75989
【出願日】昭和59年(1984)4月16日
【公開番号】特開昭60-220063
【公開日】昭和60年(1985)11月2日
【公告番号】特公平6-65350
【公告日】平成6年(1994)8月24日
【出願人】酒井医療株式会社
【特許請求の範囲】
【請求項1】外部から強制振動を与えることによりバランス訓練が課される被訓練者を乗せる台座と、この台座を昇降自在及び前後・左右に揺動自在に支持する昇降・揺動機構と、この昇降・揺動機構を左右方向又は前後方向に往復動自在に支持する往復動機構を備え、前記昇降・揺動機構は、前記台座を支えるべく伸縮可能な軸部で支持された第1フレームと、この第1フレームに連結された昇降用の第1駆動源と、前記第1フレームに連結された前記台座の前後を上下に揺動するための第2駆動源と、前記第1フレームに連結された前記台座の左右を上下に揺動するための第3駆動源とから構成し、また、前記往復動機構は、前記第2駆動源及び第3駆動源をそれぞれ固定支持する第2フレームと、この第2フレームに連結された前後方向駆動用の第4駆動源と、前記第2フレームを下側から支持し、かつ前記第4駆動源を固定支持する第3フレームと、この第3フレームに固定支持され、かつ前記第2フレームに連結された左右方向駆動用の第5駆動源と、前記第3フレームに連結された前記台座の前後を左右に揺動するための第6駆動源と、前記第1駆動源ないし第6駆動源の駆動を独立して制御する制御部とから構成してなることを特徴とするバランス訓練装置。

 

酒井医療の特許ではクレームで主張しているのはハードウェア構成ですが、ナショナルの特許では施療パターンに重点を置いているので、「施療パターン」と「乗馬療法」を組み合わせたことがナショナル特許のポイントなのかもしれません。

 

Joba_53018925

 

ちなみに、さらに酒井医療の特許には特公昭53-018925が引用文献として掲載されています。これは「乗馬練習装置」(左図面参照)です。

 

「乗馬フィットネス」という分野はナショナルが新しく切り開いたと思いますが、そもそもの技術-乗馬を模した装置-については古くから技術の蓄積があったんですね。