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作成 : 2007.07.14

 

ディズニーランドには行きますか?

 

私は人ごみが苦手なのですが、妻が無類のディズニー好きなので、たまに付き合って行きます。

 

ディズニーランドやディズニーシーに行くと見かけるのがファストパス(R)。

 

ディズニーはこのファストパス関連特許を出願しています。この特許は登録になっていますので今回の身近な特許では、このファストパス(R)関連特許を紹介します。

 

◆ディズニーランドのファストパス関連特許

 

【発明の名称】アトラクション入場管理システム
【出願番号】特願2000-243297
【出願日】平成12年8月10日
【公開番号】特開2001-101461
【公開日】平成13年4月13日
【特許番号】特許第3700833号
【登録日】平成17年7月22日
【発行日】平成17年9月28日
【特許権者】ディズニー エンタープライジーズ インコーポレイテッド

 

【要約】
【課題】 アトラクションへの入場方法を選択可能とし、アトラクションの動的な実時間収容能力を常時調節可能とし、同じアトラクションへの重複予約を防止する。
【解決の手段】 並んで待つことにより客がアトラクションに入場できる第1キュー24及び第1キュー24を避けて客がアトラクションを利用できる第2キュー26を設ける。第2キュー26に、客がアトラクションを利用するための割当時間を得る権利をもつことを確証する第1バリデーター32、権利をもつ客にアトラクション利用予定割当時間を含むメディアを配布するメディアディストリビューター38及び割当時間に客がアトラクションを利用する権利をもつことを確認する第2バリデーター34を設ける。割当時間をアトラクションへの需要及びアトラクションの収容能力に影響する1つ以上の要因に基づいて決定する。メディアには情報材を含めることができる。

Disney_fastpass

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのアトラクションへの顧客の入場を管理するシステムであって、
前記顧客が並ぶことにより前記アトラクションを利用することができる第1の行列を形成する手段と、
前記顧客が前記第1の行列に並ぶことなく前記アトラクションを利用することができる第2の行列を形成する手段と、
発券機とを備え、
前記発券機は、前記第2の行列による前記アトラクションの利用を所望する顧客に前記第2の行列を利用する権利が与えられていることを確証する確証手段と、確証された顧客が前記アトラクションを利用することができる将来の割当時間帯を、前記アトラクションへの需要及び前記アトラクションの収容能力等の情報に基づいて決定する決定手段と、決定された前記割当時間帯を記載した第2の行列利用パスを発行する発行手段とを有しているものであることを特徴とするシステム。

 

 

この特許の要約や請求項1だけを読んでも、それほど面白くないのですが、実施例を読むと結構リアルに書いてあり興味深いです。

 

【0002】
【従来の技術】
何かをするために人々が並んで待たなければならない状況は数多い。例えば、アミューズメントパークではアトラクションを楽しむために客が並んで待つ必要があることが多く、最も人気のあるアトラクションでは通常最も長い列ができる。人々が並んで待たなければならない状況は他にも、銀行、パン屋、官庁にあり、さらに、ショーまたはコンサートのチケットを買うためや、美術館や博物館への入場許可を得るために生じ、あるいは商品やサービスを利用するためにある一時に到着する人々の数が、ある1人の客または1グループの客がサービスを受けられるスピードを越えるような場所であればどこにでも生じる。このような状況が生じる時に、人の列ができる。

 

【0003】
客は並んで待つが、これを好む客はいない。人々は、列に並んですごした時間は無駄になった時間だと感じる。客は、並んで待つ代わりに他のことができるように、後になって列ができていないときに戻ってくるほうがよほどよいと思っている。この問題は特にアミューズメントパークで深刻である。アミューズメントパークにはおそらく、乗物、ショップ、ショー、ストア、ゲーム、パレード、展示、及び飲食店を含む、数100のアトラクションがあるであろう。ある客がアトラクション毎に並んで待たなければならないとすれば、その客はおそらく1回の訪園で少数のアトラクションしか利用できないであろう。特に人気のあるアトラクションでは、数時間も待たなければならない人の列ができ、したがってある客は10時間の訪園でアトラクションを5つないし6つしか利用できないことになるかもしれない。

 

【0004】
より多くのアトラクションを利用できないことに客が不満をもつだけでなく、アミューズメントパーク自体も客が別のアトラクションに並んで待っているために利用率の低いアトラクションができることに悩んでいる。1つのアトラクションだけを並んで待つ代わりに、客は他のアトラクションを楽しみ、食事をし、店で買い物をし、ゲームをし、あるいはその他のアクティビティを楽しんでいてよいはずである。客があるアトラクションにつきものの人の列を避けることができ、それでもその客の訪園の間のどこかでそのアトラクションを利用できる方が好ましいにちがいない。

 

【0005】
従来技術には、並んで待つことに付随する問題を扱うための数多くの手法がある。並んでいる人々を扱うための一手法は、待っている間をより楽しく過ごせるようにするか、あるいは待つ時間を短く感じさせるという試みである。あるシステムでは、客が退屈をまぎらせて、並んで待っていることから気を逸らせるように、テレビ、音楽、読み物等のようなもので並んで待っている客を楽しませる。しかし、このような方策は並んで待たなくともよいようにするためには何もしていない。

 

【0006】
従来技術の別の方策では立って並ぶ必要をなくすことが常に試みられていた。そのようなシステムの1つでは、サービスの行われる場所にやってくる客のそれぞれが、客が新しくやってくる毎に大きくなる番号を与えられる。番号が順に呼ばれ、呼ばれた番号をもつ客にサービスを受ける権利が与えられる。このような方策はパン屋及びその他の飲食店舗で用いられることが多い。このシステムでは客がサービスを受けられる順番を決めるために客が実際に立って並んでいる必要はなくなる。客が、現在サービスを受けている番号がその客に割り当てられた番号よりはるかに小さいことを知れば、その客はその店舗を離れ、自分の番号が呼ばれるはずだと思われるときに戻ってくることができる。

 

【0007】
この方策は客による多大の憶測を必要とし、客にはいつ自分が戻ってくるべきかについての明確な指針が全く与えられない。たいていの場合、現在サービスを受けている番号と客の番号との間の予想される時間差は、その客がサービスを受ける機会を失うことを避けるためにその店で待たなければならないと感じさせるようなものである。したがって、このような方策では現実に人の列ができることは避けられるが、待つこと自体は実際には避けられない。

 

【0008】
アミューズメントパーク及びその他のアトラクションにおける従来方策には、客を並んで待たせる必要を無くそうと試みたものがいくつかある。第1の既知のシステムにおいては、数多くのチケットがアトラクションの実施時刻及びアトラクションの収容能力に基づいて売られるかまたは配布される。この方策にともなう問題は、これが“沈黙”システムであることである。アトラクションの入場時刻及び実施時刻が予測可能であり、配布されたチケット分の収容能力で実施されるという仮定がある。このシステムにともなう問題は、現実にアトラクションが行われる真の時刻も、アトラクションの動的な実時間の収容能力も考慮されないことである。

 

【0009】
前記第1のシステムまたは方策にともなう別の問題は、同じ時刻に実施が予定されているアトラクションのために客が複数のチケットを入手できることである。客が複数のチケットを確保すれば、アトラクションは最大収容能力で実施されず、アトラクションの効率(1回のアトラクションあたりの乗車人数)が単純な並んで待つ方策が用いられる場合よりも低くなる状況がもたらされる。さらに、このシステムは休止時間あるいは遅延を考慮していないので、アトラクションが実際には実施されていないか前の実施時刻からの客がまだサービスを受けているような場合でも、次の実施のためのチケットが配布されている。この場合には並んで待つかあるいは結局そのチケットを使用できないことになる。

 

【0010】
この方策にともなうまた別の問題は、全ての客がこのシステムを使用しなければならないことである。客がこの方策の代わりに用い得る代替方策は、この方策の方が時間がかかる場合であっても、全くない。客はチケットを入手しなければ、アトラクションを利用することが許されない。

 

【0011】
立って並ぶ必要をなくすか軽減する別の試みが、 マホーニー(Mahoney)への米国特許第5,502,806号(マホーニー特許または’806特許)に記述されている。マホーニー特許は、客にカードすなわち電子IDデバイスが発行され、その客がこのカードで複数のコンピュータアクセス端末を使用できる、待ち行列管理システムを記述している。このアクセス端末は、例えばアミューズメントパークに置かれる。カードをアクセス端末で使用する客には、数多くのアトラクション及び興行について利用可能な時間枠ウインドウが示される。客は1つまたは複数のアトラクションについて1つまたは複数の時間枠を選び、よってアトラクションの利用スケジュールを前もってたてることができる。

 

【0012】
マホーニーシステムにともなう問題は、客が多くのアトラクションの利用権を予約することができ、他の客のアトラクション利用を妨げる可能性があることである。別の問題は、客に時間枠を選択させることにより、マホーニーシステムは乗車状態及び実施データの変動への応答性に欠けることである。さらに、時間枠自体が前もって確立された時間割により定められる。このような時間枠の事前割当では、実際のアトラクションの状態に基づいて時間枠割付を動的に変更することできないという、上述の第1の既知の方策と同じ欠点が障害となる。上記条件下では、アトラクションが遅延した場合には客が立って並ばなければならなくなり、このシステムがまさに提供しようとする利点が失われる。マホーニーは、そのような状況が生じた場合には、入場権のない客を入場権のある客より長く待たせる必要があるであろうといっている。しかし、そのような解決法ではやはり、入場権をもつ客に対しても実質的な待ち時間が必要となり、入場権をもたない客に対しては受け入れがたい待ち時間を課すことになる。客が時間枠を選択できることにともなうまた別の問題は、選ばれる時間枠の全てが一日のある時間帯、例えば午後2時から5時に集中し、午後0時から1時のような一日の他の時間帯で選ばれる時間枠はほとんどあるいは全くないことがあり得ることである。このシステムにおいては、アトラクションの利用率がある時間帯で低くなり得る。

 

【0013】
マホーニーシステムは、個々のアトラクションの収容能力を固定して時間枠割付を管理する。現実問題として、あるアトラクションの前記固定収容能力が、客の人数、客の集団動態、アトラクションの出来具合、規定時間を超過して点検修理にまわっている乗物付属の客用ビークルの数、乗物の操作につけることができるスタッフ要員の数、安全係数、天候等を含む、様々な要因により得られないことがあり得る。例えば、どんなアトラクションでも利用したいと思っているかもしれないパーク内の総客数は、一日のある時間(例えば開園時)においては一日の他の時間(例えば真昼)よりもかなり少なくなり得る。さらに、アトラクションの収容能力は様々な状況により変動し得る。乗物がある時間運転停止になることがあり、また1台以上の“車両”すなわち乗物付属の客用ビークルが乗物からはずされることがあり、これらは収容能力を低下させる。乗物の操作につけられるスタッフ数は一日の中で変動し得る。シフト交替時のようにつけられるスタッフ数が少ない場合には、客用車両に乗り込むことができる利用客数あるいは客を乗せることができる車両数が減少することがある。遅延が生じ、入場権をもつ客が立って並ばなければならなくなる場合には、別のアトラクションのためにこうした客が予約した時間枠の権利が消滅することがある。このことは入場権をもつ客を失望させるだけでなく、おそらく別のアトラクションに空席をつくることになる。

 

特に【従来の技術】の前半部分は、感想的な記述もあり面白いですね。