e-patent > コラム > ニュースな特許 > 日本初上陸のスウェーデン衣料品 H&M (Hennes & Mauritz)

ここのところニュース・ワイドショーなどで盛んに取り上げられているスウェーデンから日本発上陸した衣料品ブランド H&M (Hennes & Mauritz)。

 

 

デザイン性・ファッション性を重視しながらも低価格ということで、これまでユニクロ(ファーストリテイリング)が競争優位性を占めていた分野への参入となります。

 

衣料品ブランドということで、特許はないだろう・・・とは思ったのですが、念のために意匠・商標も含めて調べてみました。

 

予想通りというべきか、やっぱりというべきか特許出願はありませんでした。

 

ちなみに特許電子図書館の公報テキスト検索

 

  • 出願人/権利者:ヘネス
    and
  • 出願人/権利者:モーリッツ

 

という検索を実施しました。

 

次にアパレルだから意匠はひょっとしたら出願しているかも・・・と思って意匠公報テキスト検索で調べてみました。

 

が、意匠についても出願を確認することができませんでした。

 

最後に商標について調べてみました。特許電子図書館の商標称呼検索で調べたところ、1件ヒットしました。当たり前ですが、商標についてはしっかりと抑えていました。

 

Hm_trademark

【国際登録番号】 792728
【国際登録日又は事後指定日】 平成14年(2002)9月16日
【先願権発生日】 平成14年(2002)9月16日
【登録日(国内)】 平成18年(2006)3月3日
【登録最終処分日】
【登録最終処分種別】
——————————————————————————–
【商標(検索用)】 H&M\HENNES & MAURITZ
【称呼】 エッチアンドエム,エイチアンドエム,エッチエム,エイチエム,ヘネスアンドモーリッツ,ヘネスモーリッツ
【ウィーン図形分類】
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【名義人】  H  M Hennes  Mauritz AB
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【類似群】 17A01 17A02 17A03 17A04 17A07 22A01 22A02 22A03 24C01 24C02
【国際分類版表示】 第8版
【区分数】 1
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務(訳)】
25 被服,履物及び運動用特殊靴,帽子

 

H&Mを迎え撃つユニクロ(ファーストリテイリング)はどうなのか?こちらもついでに調べてみました。

 

ユニクロの会社名は株式会社ファーストリテイリングですので、出願人名「ファーストリテイリング」で検索すると公開特許は9件あり、うち1件は登録になっています。

 

  • 特開2008-075191 パッド付きブラジャー及びブラジャー用パッド
  • 特開2007-099374 物品収容用の箱
  • 特開2006-322121 下肢部保護衣料
  • 特開2006-320640 姿勢矯正衣料
  • 特開2006-316386 靴下
  • 特開2006-097152 調温機能を備えた編物
  • 特開2005-105476 布地及び当該布地から構成された身装品
  • 特開2004-225220 上衣
  • 特開2003-041460 表裏面で異なる表面感を有するフリース
  • 特許4090417 布地及び当該布地から構成された身装品

 

どんな登録特許を持っているのかというと以下のような内容です。

 

Hm_firstretailingpatent 【発明の名称】布地及び当該布地から構成された身装品
【出願番号】特願2003-341531
【出願日】平成15年9月30日
【公開番号】特開2005-105476
【公開日】平成17年4月21日
【特許番号】特許第4090417号
【登録日】平成20年3月7日
【発行日】平成20年5月28日
【出願人】株式会社ファーストリテイリング
【要約】
【課題】 発熱性とドライ性の双方を兼ね備えた布地及び当該布地から構成された身装品を提供することを目的とする。
【解決手段】 高吸水性繊維の中空糸と、ポリエステルの異型断面糸とからなることを特徴とする布地により解決する。前記布地は、布地を基準(100重量%)とした場合に、一方の面においては、前記高吸水性繊維の中空糸が70~50重量%であり、前記ポリエステルの異型断面糸が30~50重量%となるように構成され、かつ、他方の面においては、前記高吸水性繊維の中空糸が90~60重量%であり、前記ポリエステルの異型断面糸が10~40重量%となるように構成されることが好ましい。これにより、発熱性とドライ性とを兼ね備えた布地及び当該布地から構成された身装品を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高吸水性繊維の中空糸と、ポリエステルの異型断面糸とからなる布地であって、前記布地を基準(100重量%)とした場合に、前記布地が、一方の面においては、前記高吸水性繊維の中空糸が70~50重量%であり、前記ポリエステルの異型断面糸が30~50重量%となるように構成され、かつ、他方の面においては、前記高吸水性繊維の中空糸が90~60重量%であり、前記ポリエステルの異型断面糸が10~40重量%となるように構成され、
前記一方の面と他方の面とで、前記中空糸の割合と前記異型断面糸の割合とが異なる布地。

 

続いて意匠。こちらは3件ありました。

 

  • 意匠登録1302603  ブラジャー
  • 意匠登録1289795  織物地
  • 意匠登録1206896  織物地

 

特許でもブラジャーがありましたが、意匠面でもブラジャーについての権利化保護を行っていることが分かります。

 

最後に商標ですが、称呼検索で称呼「ユニクロ」、区分25(被服,履物及び運動用特殊靴,帽子)で検索すると34件ヒットします。この中には皆様おなじみの以下のような商標が含まれています。

 

Hm_uniqlo5137355

商標登録番号:5137355号

 

Hm_uniqlo5137359

商標登録番号:5137359号

 

「ユニクロ」だけではなく、会社名の「ファーストリテイリング」でも5件商標登録しています。

 

アパレルというハヤリ・スタリが早い業界だと、なかなか特許で独自技術を保護していこう・・・という風土にはなりにくいようです。

 

もちろん、布地などの素材自体は素材メーカーが研究・開発していきますし、服に仕立て上げるのも中国などの工場に委託生産しているので、H&Mやユニクロ(ファーストリテイリング)が独自技術を持つ必要性が特に生じないという背景もあるかと思います。

 

むしろ、

 

  • お客様のニーズ・世の中のトレンドを読むこと
  • サプライチェーンの最適化を図ること
  • ブランドの浸透を図ること

 

が生命線なのでしょう。

 

この3つの中で知的財産権として保護されうべきものは、3つ目の「ブランド」しかありません。

 

とすると、商標権しか持っていないH&Mが知的財産に対して消極的であるとことにはなりません。

 

むしろ商標権1件だけでも、世界の衣料品販売店の売上高第3位になることができるということは、知的財産権の重要性は件数の多寡ではなく、利用方法にこそあると言えるのではないかと思います。