e-patent > コラム > ニュースな特許 > 即席ラーメンの生みの親・安藤百福氏の特許

2007年1月5日即席ラーメンの生みの親である安藤百福氏が亡くなりました。95歳でした。

 

[安藤百福氏関連ニュース]

 

 

安藤氏といえば「チキンラーメン」。お湯をかければすぐに食べられる世界初のインスタントラーメンの開発者として有名です。安藤氏についての詳細は下記ページをご参照下さい。

 

[安藤百福氏関連ウェブサイト]

 

 

安藤氏のチキンラーメン開発でよく取り上げられるのが「瞬間油熱乾燥法」です。つまり、麺を油で揚げると、麺の中の水分が蒸発し無数の穴が空き、その麺にお湯を注げば、お湯がその穴にゆきわたり、短時間でゆでたての状態に戻る。安藤氏の奥さんが天ぷらを揚げているのを見て閃いた、とのことです。

 

1958年に即席ラーメン「チキンラーメン」の商品化に成功したものの、「チキンラーメン」の成功を見て、他社が続々と即席ラーメン市場に参入してきました。

 

他社-特に粗悪品や模造品を製造する会社-による「チキンラーメン」の信用失墜を防ぐために、安藤氏は特許権・商標権を申請・登録します。

 

1961年に「チキンラーメン」の商標登録。そして1962年に「チキンラーメン」の製造方法特許を取得します。この登録特許を基に113社が警告を受けました。しかし、その後安藤氏はこの「チキンラーメン」の製造方法特許を譲渡・公開することにします。この件をNET-IR 先駆者たちの大地より転載します。

 

安藤会長は、昭和39年、「野中の1本杉になってそびえるより、豊かな森にした方が実りが多い。大衆に安く商品を提供するためにも小異を捨てて大同につく」として、「日本ラーメン工業協会」を設立して製法特許権をゆずった。この英断により、業界は大きく発展したのである。翌40年には、JAS(日本農林規格)を取得し、製造年月日を率先して記載してもいる。 (NET-IR 先駆者たちの大地より)

 

1社独占ではなく他社共有とすることで、業界全体・市場全体を発展させ、その中で自社も発展させていく。今でも十分通じるこの経営戦略によって日清食品はその後発展していきました。

 

さて、今回紹介する特許はこの日本ラーメン工業協会(現・日本即席食品工業協会)に譲渡した「チキンラーメン」の製法特許です。

 

◆安藤氏の「チキンラーメン」関連特許について

 

安藤氏がチキンラーメンを開発したのは1958年。チキンラーメンの特許権を取得したのが1962年。いずれも40年以上の前のことで、特許を探すのにも非常に苦労しました。

 

日清食品のウェブサイトに「なぜなぜタウン:一丁目 チキンラーメン」というサイトがあり、「質問2 なぜお湯をかけるだけで食べられるの?」に特許番号が記載してあります。

 

チキンラーメンは「即席ラーメンの製造法」と「味付乾麺の製法」に関して合せて2つの特許をもっています。

 

1. 「即席ラーメンの製造法」の特許(油熱乾燥が特徴)
昭和34年1月出願⇒昭和37年6月12日登録
特許299524号 発明の名称:即席ラーメンの製造法
2. 「味付乾麺の製法」の特許
昭和33年12月出願⇒昭和37年6月12日登録
特許299525号 発明の名称:味付乾麺の製法
(質問2 なぜお湯をかけるだけで食べられるの?より)

上記の番号は特許番号です。この時代、特許公開制度はありませんので、出願された特許はいったん公告されて、その後登録されます。つまり特許電子図書館IPDLで上記の登録番号を調べても、ヒットしません。

そこで、即席ラーメン関連のFタームを4B046 :穀類誘導製品3(麺類) を使って特許分類検索で200件ほどチェックしました。

その結果・・・

1つ目の特許は発見できましたが、2つ目の特許は発見できませんでした・・・

発見できたのは

  • 特公昭35-016975 「即席ラーメンの製造法」
  • 特公昭37-015286 「麺類の浸漬味付装置」

 

の2件です。特公昭37-015286「麺類の浸漬味付装置」が、特許299525号「味付乾麺の製法」と同じ特許かな~?と思ったのですが、出願日が違うので別の特許です。

 

よって今回は見つかった上記2件の特許を紹介します。今回は特許公報のPDF公報へのハイパーリンクも付けましたので、興味のある方は原文をチェックしてみてください。

 

2件とも発明者名が「安藤百福」ではなく、「安藤須磨」になっているのが不可解なのですが・・・どなたか理由をご存知であれば教えてください

 

◆特公昭35-016975 「即席ラーメンの製造法」

【発明の名称】即席ラーメンの製造法

【出願番号】特願昭34-001918
【出願日】昭和34年1月22日
【公告番号】特公昭35-016975
【発明者】安藤須磨
【出願人】日清食品株式会社
【特許請求の範囲】本文に詳記する如く小麦粉を主材とし之にカン水、塩水、油、生姜汁液、鶏卵等の添加諸材を加えた原料を混練して製麺機等により可及的細薄麺条を形成して蒸熱後冷風供給下に油液の噴霧注加の下に解きほぐし、別に鶏骨スープ等の動植物スープを基材とし之に動植物質調味料及び化学調味料更に香料等を添加して濃縮調整した調味液を加温したものを前記麺条群に再び冷風供給下に噴霧注加して浸透保有させ之を折損せぬ程度に予備乾燥し該味付麺条群を動植物性の高温油液中にて瞬間揚処理を行うと共に油切り乾燥することを特徴とする即席ラーメンの製造法。

特公昭35-016975「即席ラーメンの製造法」 PDF公報

 

◆特公昭37-015286 「麺類の浸漬味付装置」

【発明の名称】麺類の浸漬味付装置
【出願番号】特願昭35-25037
【出願日】昭和35年5月19日
【公告番号】特公昭37-015286
【発明者】安藤須磨
【出願人】日清食品株式会社
【特許請求の範囲】本文に詳記し図面に例示するように、生麺条を半乾燥させる予備乾燥装置を移送コンベヤーと共に設置し、之に接続してネットコンベヤーの如き液の透過を許容するコンベヤーを傾斜移送経路を構成するように配設して、このコンベヤーの屈曲部において濃縮味付液槽をコンベヤーの浸漬通過状に設けると共に更にこの上面には軽くコンベヤーに接支する回転浸漬ローラーを麺条押支用として配設し、このコンベヤーと共に設置し、麺条の連続移送と共に之に対し味付液を浸透一体化させることを特徴とする麺類の浸漬味付装置。

特公昭37-015286 「麺類の浸漬味付装置」 PDF公報