無効資料調査・公知例調査

2007-07-08 : 作成

無効資料調査 (Invalidity Search) とは、「ある特定の特許を無効化するための先行資料を探す」ための調査です。ここである特定の特許とは、自社の活動に支障をきたす他社特許です(他社特許が登録の場合がほとんどですが、中には公開段階から無効資料調査を行い権利化を阻止するケースもあります)。

無効資料調査の場合、ある特定の特許を無効化することが目的です。この無効化するための先行資料は特許だけに限られません。特許以外の学会誌・論文・雑誌・書籍などの一般文献でも構いません。

松下電器産業とジャストシステムが争ったアイコン訴訟の知的財産高等裁判所判決(平成17(ネ)10040 全文、日本弁理士会 判決紹介)の中を読むと、松下電器産業の特許に無効理由(進歩性欠如)があると認定した資料は一般文献と特許です(以下には一般文献を抜粋)。

  • ヴィッキー・スピルマン=ユージン・ジェイ・ウォング著、「HPニューウェーブ環境ヘルプ・ファシリティ」、1989年8月発行
  • フレッド・ストーダー著、「ハイパープログラマーのためのハイパーツール」、マックチューター、1988年7月号
  • デニー・スレシンジャー著、「ヘルプ・ドキュメンテーション・システムの概説」、マックチューター、1987年11月号
  • ナショナル・インストルメンツ社、「ラブビュー~マッキントッシュのための科学ソフトウェア~」、1986年発行
  • マイケル・ボーズ=グレッグ・ウィリアムズ著、「ラブビュー:実験仮想器具エンジニアリング・ワークベンチ」、バイト・マガジン、1986年9月号

無効資料調査を行うケースとしては、以下のような場合が考えられます。

  • 他社から特許侵害で訴えられた
  • 他社から警告状が来た
  • あるテーマで特許調査を実施したら自社事業の障害となる他社登録特許が発見された
  • 定期的にウォッチング調査を行っていたら、他社から将来的に自社事業にとって障害となる特許(公開段階)が発見された
  • 他社を特許侵害で訴える場合(自社の特許に対して無効資料調査を実施する=自社特許の有効性調査)
  • 他社に警告状を送付する(自社の特許に対して無効資料調査を実施する=自社特許の有効性調査)

調査対象技術にも拠りますが、一般的に調査対象件数は500件から2,000件程度です(もちろん費用・時間の面で余裕があれば、もっと調査対象件数を増やすこともできます)。