パテントファミリー調査・対応特許調査

2008-06-15 : 作成

パテントファミリー調査・対応特許調査 (Patent Family Search) とは、ある特許出願のパテントファミリー・対応特許群を明らかにする調査です。

対応特許とは、ある1つの発明に基づいて複数の国 (アメリカ・ドイツなど) や機関 (EPO など) に対して出願された特許を指します。

そもそも特許は、日本の特許は日本でしか効力が及ばず、米国の特許は米国でしか効力が及ばない、つまり権利を取得した国・地域でしか効力が及びません。

例えば日本企業A社が日本特許庁に特許出願を行います。日本で登録特許になれば、その特許で権利主張を行うことができますが、アメリカでは権利主張を行うことができません。もしもアメリカで権利主張をしたいのであれば、アメリカ特許庁 (USPTO) に出願しなければいけません。

このようにある1つの発明に基づいて、まず日本企業であれば日本へ特許出願をします。その後、この日本特許を基にして、優先権主張を行い、アメリカや欧州特許庁など外国へ特許出願を行います。このようにしてアメリカや欧州特許庁へ出願された特許を日本特許の対応特許と呼びます。また、対応特許の集まりをパテントファミリー(特許 ファミリー)と呼びます。

下にシーメンスAGのパテントファミリーの例を示します。

パテントファミリーの例 (ドイツ企業 Siemens AG の例)
DE10324908 出願日: 2003-05-30 公開日: 2004-12-23
JP2004358245 出願日: 2004-05-27 公開日: 2004-12-24
US2004264756 出願日: 2004-05-28 公開日: 2004-12-30
CN1573732 出願日: 2004-05-31 公開日: 2005-02-02

このパテントファミリーの例では、まずシーメンスはドイツに特許出願を行い(DE10324908)、その後日本・米国・中国へも同じ内容または類似した内容を特許出願していることが分かります。

パテントファミリー調査・対応特許調査を行う理由は以下のようなものが挙げられます。

  • ある特許の外国出願状況の把握
  • ある企業の外国出願状況の把握
  • 非日本語特許・非英語特許の技術内容把握

1つめの「ある特許の外国出願状況の把握」とは、特許調査を実施して重要特許や要注意特許を抽出した後に、その特許が外国にも出願されていないか確認することを意味します。自社が日本国内だけではなく、米国やヨーロッパでも事業展開を考えている場合、競合他社の要注意特許(日本特許)が見つかったとします。この要注意特許に米国特許・EP特許の対応特許が見つかり、さらに登録まで至っていると自社の事業展開を再考しなければならなくなります。

2つ目の「ある企業の外国出願状況の把握」とは、ある企業を対象に日本特許を収集した後に、その日本特許のパテントファミリーを調べることで、その対象企業がどれくらいの割合で、どのような国々に特許出願しているのか確認することを意味します。これは対象企業の外国特許出願戦略を明らかにするための調査になります。

3つ目の「非日本語特許・非英語特許の技術内容把握」が最も身近なパテントファミリー調査になると思います。

例えば中国特許調査を実施して、気になる特許をピックアップしたとします。しかし中国語の公報をそのまま読める人はそれほど多くないと思います。このような場合、この中国特許のパテントファミリーを検索して対応日本特許や対応米国特許がないか調べるのです。そうすれば、特許請求の範囲・クレームは全く同一ではないかもしれませんが、どういった技術内容に関する特許なのか把握することができます (どうしても日本語や英語の対応特許が見つからない場合は翻訳会社で翻訳してもらうか、GoogleやExcite等で提供している翻訳ツールを利用することになります)。